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ジョー・ストラマーが自らの死の直前にキャッシュに捧げた歌

2015.05.09

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2002年の4月、ジョー・ストラマーはロスアンゼルス郊外のベルエアにあるジェリー・ハリントンの家で、イースターの休みを過ごしていた。
その時、偶然に旧友のリック・ルービンと再会した。

ルービンはそこでジョーに向かって、「まだジョニー・キャッシュに歌わせる曲を探しているんだ」と言った。
以前にジョーがルービンから頼まれて作った曲「ザ・ロード・トゥ・ロックンロール」は、「私のイメージとは違う」とキャッシュ本人から却下されていた。

ジョーは敬愛するキャッシュに自分の曲を歌ってもらいたいと思い続けていたので、その場でひらめいた歌詞をガレージにあった破れた段ボール箱に書き始めた。

あんたがた長い影を投げ
それが人々に遺す言葉となる
俺の魂のどこかで
いつもロックンロールが鳴っている


自らに迫り来る死を予感していたかのように、遺言という言葉を用いて作られた「ロング・シャドウ」は、ボブ・マーリィの「リデンプション・ソング」にも通じる歌だった。



しかし、キャッシュはまたしてもジョーが作ってきた歌に対して、首を縦に振ってはくれなかった。
それでもリック・ルービンの自宅でレコーディングが行われて、ボブ・マーリィの「リデンプション・ソング」がジョーとキャッシュのデュエットで録音されることになった。

ボブ・マーリーが亡くなる前年に発表したラスト・アルバム『アップライジング』の最後に入っていた「リデンプション・ソング」もまた、死期を悟った表現者によってあたかも遺言であるかのように記録された名曲で、自由と開放についての歌だった。

長い回り道ではあったがルービンのはからいで、ジョーはアメリカン・ミュージックの偉大なるイコンであるキャッシュと、「リデンプション・ソング」をデュエットで歌うという念願を果たしたのである。



ところがその年の12月22日、50歳の若さでジョーが突然、この世を去ってしまった。
死因は先天性心臓疾患だった。

遺作となったジョーのラスト・アルバム『ストリートコア』は未完成だったが、残された音源を元にしてザ・メスカレロスのメンバーによって仕上げられて、翌年にジョー・ストラマー&ザ・メスカレロスの名義で発表された。

そこにはキャッシュに捧げた「ロング・シャド-」とともに、一人で歌った「リデンプション・ソング」も収められていた。



<どうぞこちらも併せてお読みください>
TAP the NEWS「救いの歌〜二人のカリスマの出会いと死〜」


1LP

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