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浅川マキ27歳〜新宿に惹かれた女、新宿が生んだアングラの女王

2021.05.21

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1969年、浅川マキは劇作家・寺山修司によってその才能と存在感を見出され、シングル「夜が明けたら/かもめ」で再デビューを果たす。
それは、彼女が27歳になった年の出来事だった。
学生運動、70年安保闘争という時代の中、彼女は「アングラの女王」と呼ばれるようになる。
そんな“再デビュー”に至るまで彼女はどんな日々を過ごしてきたのだろう?

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──1942年1月27日、彼女は石川県石川郡美川町という漁師町で生まれる。
家が五軒しかないという集落で、妹と共に過ごした幼い頃に「美空ひばりを聴いて育った」という。
高校を卒業した彼女は町役場に就職し、国民年金の窓口係を担当する。
しかし、ほどなくして役場を辞め、夜行列車に乗って東京に向かった。
「法律の勉強をするため」と言い残すも…ただ町を出たかったのかも知れない。
彼女は、新宿の街に惹かれた。
思い切り裾の広がったドレスを買うと、あちこちのキャバレーの裏口のドアを叩いた。

「あの、こちらで歌手としてオーディションをしてみてもらえないかしら?」

一枚だけのドレスは、日を追うごとに汗のにおいがしみつく。
それを大きなバッグに詰め込んで、新宿の街を歩く…。
彼女はよく深夜のジャズ喫茶の片隅に座った。
始発が出る頃まで目を閉じている。
黒いスピーカーから大音量で流れているモダンジャズの中で、時には奇妙な安らぎのような不思議な眠りに落ちた。
ジョン・コルトレーンやチャーリー・パーカーのサキソフォン…それは黒人の男の体温だった。
そしてマへリア・ジャクソンが歌う黒人霊歌と、ビリー・ホリディの歌声にのめり込んでいった。
その後、彼女は沖縄米軍キャンプや新宿の歌声喫茶『灯』でゴスペルやブルース、ジャズを歌い始めた。
1967年、当時25才だった彼女は“最初のデビュー”を経験する。
しかしそのデビュー曲「東京挽歌」は、彼女が歌いたかった世界とはあまりにかけ離れていた。
デビューはしたものの…レコードの売り上げも芳しくなく、彼女が歌う場所はキャバレーが主で、それも月に3回くらいしか仕事がない状態にあった。
寺山修司が知人の音楽プロデューサー、寺本幸司に誘われて銀座にあったシャンソン喫茶『銀巴里』に出かけたのは、1968年の秋口のことだった。

「ちょっと面白い歌手がいるから見に来てくれないか」

寺山修司はひと目で浅川マキを気に入った。

「“夜が明けたら”を聴いたとたん、寺山は電流が走ったちゃったみたいで、それでのめりこみ始めたんです。」

そう語ったのは九条今日子、1970年に離婚した後も劇団天井桟敷の制作担当として、亡くなるまで寺山の演劇活動を支えた元夫人だ。
浅川マキが自分で作詞作曲した「夜が明けたら」は、日本で作られた歌謡曲調のブルースではなく、アメリカの南部で生まれた黒人音楽の直系だった。


夜が明けたら 
一番早い汽車に乗るから

切符を用意してちょうだい
私のために
一枚でいいからさ

今夜でこの街とはさよならね

わりといい街だったけどね






彼女が初の単独公演を行ったのは、1968年12月13日から15日までの3日間だった。
場所は前衛芸術とカウンターカルチャーの発信地だった映画館、アートシアター新宿文化の地下に出来た小劇場『アンダーグラウンド蠍座』である。
夜10時開演という、それまでの常識にはなかった実験的な時間設定だった。
構成と演出を手がけたのは寺山修司。
寺山は、歌の間にポエトリーリーディング(独り語り)を挟むという“新しい形”のリサイタルを提案した。
それは関係者の心配を見事に裏切り、蓋を開けたらドアが閉まらないほどの連日満員の“伝説的な公演”となったのだ。
以来、蠍座では浅川マキのコンサートが定期的に行われ、寺山の書いた歌詞による独特のアングラ的な世界が評判になっていく。
口コミで徐々にその知名度が上がった浅川マキは1969年7月、東芝レコードから「夜が明けたら/かもめ」のシングル盤で“再デビュー”を果たす。
A面の「夜が明けたら」は自作の歌詞で蠍座におけるライブ録音で、そのジャケットもまた蠍座の入り口に立つ浅川マキの写真だった。
このシングル盤はゴールデン街をはじめとする新宿の飲み屋、バー、スナックなどで局地的にヒットして、口コミで全国へと広まっていった。



浅川マキ『Long Good- bye』
2010年/EMIミュージックジャパン


こちらのコラムの「書き手」である佐々木モトアキの音楽活動情報です♪
宜しくお願い致します。





【佐々木モトアキ独り唄いTOUR“歌ものがたり2021”春夏】


5月29日(土)兵庫(宝塚)IL grazie
5月30(日)八幡DELSOL café
6月5日(土)広島OK鉄板
6月6日(日)佐賀LIVE BAR雷神 
6月12日(土)埼玉(新座)エアストリームカフェ
6月13日(日)新潟(三条)Gallery Bar Veronica 
6月25日(金)群馬(前橋)Cool Fool 
6月26日(土)東京(高円寺)MOONSTOMP
6月27日(日)埼玉(川越)大黒屋食堂  
7月3日(土)田川Diamond Moon
7月4日(日)行橋Rock ‘n Roll Bar Memphis 
7月6日(火)福岡(薬院)遊来友楽 
7月10日(土)熊本(八代)bar 7th chord
7月11日(日)山口(柳井)みんなの広場 Live Village 
7月16日(金)蒲郡Chot Bar VOODOO LOUNGE
7月17日(土)名古屋 喫茶ニューポピー 
7月18日(日)浜松(弁天島)LIVE & DISCOマルガリータ 
7月24日(土)群馬(渋川)Casa Midori 
7月29日(木)仙台 ホームラン酒場
7月30日(金)岩手(宮古)カントリーズcafe
7月31日(土)岩手(二戸)HOUSE OF PICNIC 
8月1日(日)秋田(能代)ハックルベリー 
8月3日(火)小郡 ジラソーレ 
8月7日(土)群馬(下仁田)otenki食堂
8月21日(土)久留米 農と音
8月22日(日)山口(萩)玉ネギ畑  
8月23日(月)東広島pasta amare
8月27日(金)福岡 Bassic. 
8月28日(土)LIVE BAR雷神
8月29日(日)大牟田 陽炎


↓チケットご予約&公演詳細・共演者情報はこちら
https://ameblo.jp/sasakimotoaki/entry-12660274732.html




新作ミニアルバム『You』のタイトルナンバー「You」のミュージックビデオです♪
映像編集、ポートレート(写真)撮影共に、佐々木モトアキ本人が手掛けております。
とてもシンプルな技法ですが、何よりも登場する皆さんの表情が素敵です✨
人が“目を閉じている”表情。
その“瞼(まぶた)に浮かんでいる”誰かの顔。
繋がってゆく“一人ひとりの想い”が、100通りの、いや1000通りのドラマを描いてくれています。





佐々木モトアキ
執筆、動画編集、音楽・食・商品・街(地域)に関わるPRなどなど…様々なお仕事承ります。

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