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TAP the STORY

ノラ・ジョーンズ27歳〜休む間もない4年間を経て、ようやく完成させた全自作曲による3rdアルバムの満足度〜

2016.12.31


「自分で書いた曲をどれも誇りに思っているけど、とりわけ物語やキャラクターを用いて仕上げた曲をすごく気に入っているの。そうした“書き方”において、歌詞だけじゃなくアレンジや歌い方も含めてトム・ウェイツの影響が大きかったわ。」


2005年4月。
当時26歳だったノラ・ジョーンズは日本での公演を最後に2ndアルバム『Feels Like Home』を携えての長いツアーを終えた。
従えていたハンサム・バンドとの一体感も素晴らしく、彼女のアーティストとしての“これから”が大いに期待された時期でもあった。
だが、そのツアーの終わりはノラにとって一つの“区切り”でもあった。
2002年に22歳でデビューアルバム『Come Away With Me』 をブルーノートからリリースし世界的なヒットとなり、以来、彼女は休む間もなく働いてきた。
プロモーション、ロングツアー、2ndアルバムのレコーディング、そしてまたロングツアーへと…その間には生前のレイ・チャールズからフー・ファイターズに至るまで、様々なアーティストとのコラボレーションも経験した。
およそ4年間、切れ目なく続いたそのような活動の中で、彼女はゆっくりと自分を見つめる時間を持てずにいたという。
そんなこともあって、所属レーベル(ブルーノート)は、次回作のリリースを急がずに、彼女に対して製作期限を伝えることはしなかった。
デビュー以来、始めて彼女は“時間”を与えられたのだ。
そこで彼女は何をしたのか?
豪邸を建てるとか、南国でリゾートライフを謳歌するとか、ブラントやショップを立ち上げるとか…そんな“いかにも”セレブがやりそうなことに彼女はまったく興味がなかった。
彼女は自身の作品のプロデューサーでありベーシスト、そして当時の恋人でもあったリー・アレキサンダーを共に、今まで通りニューヨークのアパートで暮らしながら(やっぱり)創作活動をしていたのだ。

「音楽が趣味だから。」


こうしてリラックスして音楽に取り組むことのできる“時間”を得た彼女は、当時のことをこう述懐している。

「私たちは〆切りのプレッシャーに追われることもなく、時間をかけて本当に作りたい作品を作ることができたの。前の2作ではそれができなかったわ。もちろん1stも2ndも誇りに思っているけど、あの時間を経て創作した3rdアルバムは満足度が違ったわ。」


前の2作に収録された彼女の自作曲は、いずれも5曲に満たない。
だから彼女はこう思っていた。

「私にとって一番の目標は自分で曲を作ることで、いつかアルバム1枚をすべて自分の曲でまとめあげることができたらクールだわって!」




そして2007年。
27歳を迎えた彼女は3rdアルバム『Not Too Late』を発表する。
このアルバムで初めて全曲にわたって作詞・作曲に携わり、彼女はシンガーソングライターとして新たなスタートを切った。
しかし、アルバム発表後、休養中に彼女を支えてくれ、自宅スタジオでのアルバム製作にも協力した恋人リー・アレキサンダーが、自身の夢だったレーサーを目指すと言ってノラのもとを去り…彼女は公私ともに8年間一緒だったパートナーを失うことになった。
同年にはウォン・カーウァイ監督による映画『My Blueberry Nights』の主演を務める仕事が舞い込む。
ジュード・ロウ、レイチェル・ワイズ、ナタリー・ポートマンなどと共演したこの作品は、第60回カンヌ国際映画祭のオープニングを飾り多くの注目を集めた。


<参考文献:アルバム『Not Too Late』ライナーノーツ/内本順一(ブルーノートレコーズ)>

【ノラ・ジョーンズ日本公式サイト】
http://norahjones.jp

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