TAP the STORY

ジョージ・ジョーンズ〜ディランもキースも愛した史上最高のカントリー歌手

2017.04.26

Pocket
LINEで送る

人生には様々な試練と直面する機会がある。人は愚かにもそれを繰り返す。あるいは避けられない出来事も用意されている。しかし、逆境を糧にし、どこかにささやかな希望を見い出して、人はそれでも生きて行こうと決意する。カントリーミュージックの世界も例外ではない。

一生いつも何かから逃げ続けているようだった。


自らの人生をそう語ったこともあるジョージ・ジョーンズ。カントリーチャートで150曲以上ものトップ40ヒット、85枚以上ものトップ40アルバム(共に歴代1位)を遺した史上最高のカントリー歌手。

ジョニー・キャッシュやウェイロン・ジェニングス、ボブ・ディランやキース・リチャーズ、リンダ・ロンシュタットやジェームス・テイラーなど、名だたるアーティストからのリスペクトも数知れず。カントリー界のファーストレディ、タミー・ウィネットとの夢のような結婚生活とデュエットソングは伝説に。

その一方で、アルコールや薬物に深く溺れた。その代償として荒んだ生活と辛い離婚も経験。ステージのキャンセルを繰り返し、1980年代半ばには経済的トラブルや病気の影響で体重が40キロ以下にまで落ちて、危うく人生も終わる寸前だった。ジョーンズには上昇と下降のドラマが尽きなかった。

あの頃はひどく落ち込んでいたから、もう元には戻れないだろうと思っていた。チャンスなんてないだろうって。


しかし、そんな私生活があったからこそ、一つの音や歌詞から切ないまでの情感を生み出すことができた彼のパフォーマンスは、特にカントリーバラードでその魅力が発揮され、多くの人々の心を打つことになった。

中でもキャリア最大のヒット曲である「He Stopped Loving Her Today」は、愛し続けた女性を想いながら死んでしまう男の歌で、今やカントリーミュージック屈指のスタンダードナンバーとなっている。

この曲の最も劇的なカバーは、やはり同様に人生の試練を生き続け、どん底のジョーンズを何度も手助けしたこともあった、友人ジョニー・キャッシュによるバージョンだろう。

キャッシュは晩年の作品集『American Recordings』制作過程中、最愛の妻を亡くす。何かせずにはいられないという気持ちで歌を録音し続け、その頃の一つにジョーンズの「He Stopped Loving Her Today」があった。

彼は今日彼女を愛するのをやめた
人々は彼のドアにリースをかけた
そしてすぐに彼を運び去っていった
彼は今日彼女を愛するのをやめた


キャッシュはそれから間もなく、2003年に妻の後を追いかけるように亡くなった。

George Jones 1931.9.12-2013.4.26

ジョーンズの「He Stopped Loving Her Today」


キャッシュの「He Stopped Loving Her Today」

タミーとのデュエット

*参考/『カントリー・ミュージックの巨人』(ニール・ヘイスロップ他著/星野吉男訳/東亜音楽社)

Pocket
LINEで送る

スポンサーリンク

関連アーティスト

関連するコラム

[TAP the STORY]の最新コラム

このコラムへの感想・コメントを書く

Pagetop ↑