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ジミー・ペイジのFirst Step〜13歳で夢中になったロカビリー、14歳の時に父親からプレゼントしてもらったファーストギター

2019.04.27

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ジミー・ペイジといえば…1970年代に“最も成功したロックバンド”レッド・ツェッペリンの中核を担ったギタリスト兼リーダーである。
若い頃からアートスクールとの二足の草鞋でセッションギタリストとして活躍し、ジョー・コッカーのバックバンド、ニコのプロデュース、ザ・フーのレコーディングへの参加、ヤードバーズへの加入を経て、1968年にレッド・ツェッペリンを結成する。
そんなイギリスを代表するギタリストが、どんなきっかけで音楽と出会い、ギターを弾き始めたのか?
彼の“First Step(はじめの一歩)”とも言える時代のエピソードをご紹介します。


1944年1月9日の日曜日、彼はロンドンのハウンズロー区で生まれた。
当時、一家はこの地域に10年ほど住んでいたが、近くにあるヒースロー空港の
騒音に耐えきれず、サリー州エプソン市の静かな郊外に引っ越しをした。

「エプソンに越して何より不思議だったのは、家にギターがあったってことなんだよ。前に住んでいた人がおいていったものなのか?うちの家族の友達が持ってきたものなのか?そのギターの所有者は、誰も知らないままだった。」


彼は13歳で学校の友達からギターのチューニングの仕方を習い、地元のプレイヤー達に教えてもらっていくつかの基本コードを弾けるようになる。
ロドニー・ドネガンのようなブリテッシュスキッフルのアーティストや、エルヴィス・プレスリー、エディ・コクラン、ジーン・ヴィンセントなどの曲を耳で覚えて独学で弾けるようになっていったという。

「エルヴィスの“Baby Lets Play House”でギターを弾いているスコッティ・ムーアの切り込んでくるようなリヴァーブたっぷりのロカビリー奏法を聴いて、自分もこの一部になりたい!と思ったんだ。ここには何かあるぞ!と確信したんだ。」



息子の打ち込みぶりに感心した父親は、彼にギターを買い与えた。
ヘフナー・プレジデントfホール付き、サンバーストのアコースティックギター。
そのギターこそが彼にとって“はじめの一歩”となる愛機となった。
その後わずか一年余りで、彼はBBCテレビのティーンエイジャー・タレント・コンテスト番組『All Your Own』で2曲を演奏するほどに腕を上げていた。
1958年(当時14歳)、彼がカメラの前で自信満々に体を揺すりながら演奏をしている貴重な映像が残っている。


その後すぐに彼は初めてとなるエレキギターを手にいれる。
1958年型リソネット・グラジオッソ・フュチュラマの3ピックアップ。
それはバディ・ホリーらのロックスターたちが好んだ、フェンダー・ストラトキャスターによく似たモデルだった。
彼は地元エプソンのいくつかのバンドでプレイしながらさらに腕を磨き、1960年に音楽マネージャーのクリス・ティドマーシュの目にとまることになる。
ティドマーシュは、彼を“レッド・E・ルイス&レッド・キャップス”というロッカー集団に引き抜いた。
ジミーは、当時のことをこう振り返っている。

「僕はまだ学校に通っていたから、演奏するのは週末だけだった。レッド・キャップスでの演奏は驚愕の体験だったよ。僕達が演奏するたびに、必ずと言っていいほど喧嘩沙汰が起きるんだ。昨今のような人が撃たれたり死んだりするような喧嘩じゃないけどね。荒っぽいスポーツみたいなものだった。だから僕は、頭を引っ込めてどんな状況でもプレイをし続ける術を学ばなきゃならなかった。」


数ヶ月後にレッド・E・ルイスが解雇になり、バンドは“ニール・クリスチッャン&ザ・クルセイダーズに改名され、英国のクラブサーキットを北へ南へと積極的に回り始める。
バンドの“目玉”は天才少年ジミー・ペイジで、彼が新たに手に入れたオレンジ色のグレッチ・チェット・アトキンス・カントリー・ジェントルマンで当時の人気サウンドをそっくり真似てみせることができるというのが“売り”だった。
チャック・ベリーやリトル・リチャードのようなエネルギッシュなR&Rから、サント&ジョニーの「Sleep walk」のようなゆったりとしたインストゥルメンタルなど、当時のトップ20に登場する曲を完璧に弾きこなしていたという…



<引用元・参考文献『奇跡―ジミー・ペイジ自伝』ブラッド トリンスキー(著)山下えりか(翻訳)/ ロッキングオン>

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