イギリスを代表するロックフェス、グラストンベリー・フェスティバル。1970年に第1回が開催され、2016年には35回目を迎えた歴史あるこのフェスで、「最高のパフォーマンスはどれか」というアンケートをイギリスの老舗音楽メディアであるNMEが2011年に実施したところ、2万人もの票が集まった。
レディオ・ヘッドやデヴィッド・ボウイ、ポール・マッカートニーなどが上位に名を連ねる中で、1位に選ばれたのが2004年度のミューズによるパフォーマンスだ。
ミューズが結成したのは1994年。ギター・ボーカルで作詞作曲も担当するマシュー・ベラミ、ベースのクリス・ウォルステンホルム、そしてドラムのドミニク・ハワードという3人編成だ。
地元のバンドコンテストで優勝したのをきっかけにメンバーは仕事を辞め、本格的にバンド活動に専念するようになる。それからはロンドンやマンチェスターを中心にライヴハウスに出演しながら下積み時代を送っていたが、1998年にインディーズでEPを出した頃から風向きが変わり始め、その年のクリスマス・イヴにツアー先のアメリカでレコード会社との契約を果たす。
結成から5年が経った1999年、ミューズはようやっと1stアルバム『ショウビズ』をリリースする。しかし、プロデューサーがレディオ・ヘッドの『ザ・ベンズ』を手がけたジョン・レッキーということもあってか、評論家からはレディオ・ヘッドの二番煎じと見なされてしまう。
2001年にリリースした2ndアルバム『オリジン・オブ・シンメトリー』では、ピアノやシンセサイザーをはじめとして様々な楽器を取り入れるなど大きな変化を見せ、ミューズ独自のサウンドを確立してみせた。
そして2003年の3rdアルバム『アブソリューション』では音の多様性をさらに拡大させ、曲の構成もよりドラマティックになる。歌詞においても宗教的な要素が色濃くなり、イラク戦争の影響もあって終末感を漂わせるものとなった。
アルバムジャケットは地球に降り立った人間、あるいは地球を去りゆく人間を表しているという。このアルバムでミューズは初となる全英1位を獲得した。
しかし、彼らはステージでそんな前評判を見事に払拭した。最終日となる6月27日、メインのピラミッドステージに現れたミューズは1曲目の「ヒステリア」で火蓋を切ると、ほとんどMCを挟まずに次々と演奏していき、またたく間に会場を熱狂させていった。
中でも最後に演奏した「ストックホルム・シンドローム」は、締めくくるのにふさわしい圧巻のパフォーマンスだった。ドラムセットは次々倒され、クリスは観客席でベースを弾き、最後にはギターのノイズが鳴り続ける中で幕を閉じる。
「ぼくたちがやってきた中でも最高のライブだったと思うよ。間違いなく、ぼくたちにとって最大のギグとなったね。それなのに、少しも悩むところはなかったんだ。ギグの前も珍しく気持ちが落ち着いてたし。気持ちよかったよ!」
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