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Stars Fell on Alabama〜本当にあった奇蹟のような流星群から生まれた名曲


「東京ブギウギ」「銀座の恋の物語」「ブルーライトヨコハマ」「大阪で生まれた女」「長崎は今日も雨だった」「函館の女」「津軽海峡・冬景色」…などなど、日本では“ご当地ソング”と呼ばれる歌が数多く生まれ、庶民に愛されていた時代があった。
同じようにアメリカにも“ご当地ソング”は存在する。
有名なところでは、州歌までになった「テネシーワルツ」や「ジョージア・オン・マイ・マインド」、その他フランク・シナトラの十八番「ニューヨーク・ニューヨーク」、60年代中期に発祥したフラワームーヴメントを象徴する「花のサンフランシスコ」、「夢のカリフォルニア」など、古今東西“星の数”ほどの名曲が存在する。
星と言えば…ジャズのスタンダードとして愛され続けているアメリカを代表する“ご当地ソング”がある。
その歌の名は「Stars Fell on Alabama(アラバマに星落ちて)」。
1934年にフランク・パーキンスが作曲し、ミッチェル・パリッシュが作詞した楽曲で、これまでに(記録されているだけでも)100組以上のアーティストたちによってレコーディングされてきた名曲なのだ。
1933年11月にアラバマ州で観測された大規模な獅子座流星群からインスパイアされて生まれたというそのロマンティックなメロディーには…こんな内容の歌詞が乗せられている。


まるでドラマみたいだったよね
白い平原で僕たちはキスをして
星が流れ落ちていた…昨夜

あの幻想的な夜を忘れはしないよ
君の瞳に優しい光が煌めき…
アラバマに星が舞い降りてきたんだ


当時、アラバマ州フローレンスの地元紙『Gazette』は、その流星群のニュースをこんな風に報じたという。

「何千もの光る物体が、大空を横切ってあらゆる方向に飛んでいた。風はほとんどなく、雲の影も見えず、流星は次々と続けざまに現れた。」

天の川が輝く七夕の夜…90年前にアメリカの夜空を彩った奇蹟のような流星群を思い浮かべながら、色んな“星の歌”や“ご当地ソング”を数えてみてはいかがでしょうか…☆

<引用元・参考文献『スタンダード・ヴォーカル名曲徹底ガイド下巻』音楽出版社>