TAP the POP

s-ken──東京のヒップな音楽シーンを支えてきたプロデューサー、25年ぶりの新作

ダンダン沈んでゆく太陽 グッドラック
サボテンの花をバックに 奴は笑ってそれっきり
火をつければ燃えるウォッカで 酔えばきまって喧嘩

100ドル札をバラまいたあいつも
一緒にピストルをうったあいつも
カミングアウトしたジャンキーも
オンボロ列車で旅をしていたブルースマンも
どこにいるんだ今は 

(中略)

オールドディックのハーモニー でも一緒に音を出すとみんな少年の顔になる
さかさまに生きた 友達がいっぱい この世でワクワクしちゃう 千の目をくれたよ

うれしくて泣いた かなしくて泣いた あの世でまた会えたらいい 千の目に涙が
友にはふさわしき贈り物を そうまだいっぱい借りがあるんだ

(「千の目、 友にはふさわしき贈り物を」より)


70年代初頭から音楽活動を開始。フリクション、LIZARDらとともに東京のパンク/ニュー・ウェイヴ・ムーヴメント〈東京ロッカーズ〉を牽引し、80年代半ばには自ら結成したs-ken&hotbomboms、そしてミュート・ビート、じゃがたら、トマトスとともに〈東京ソイソース〉というイベントを立ち上げ、東京のクラブ・シーンの黎明期を支えた、s-ken。

90年代以降はプロデューサーとして活躍、クラムボン、スーパーバタードッグ、PE’Zなど個性あふれる才能を数多く発掘し、現在までに107作のプロデュースを手掛けてきた彼が、自身の作品としては25年ぶり7作目となるアルバム『Tequila the Ripper』をリリースした。

レコーディングには窪田晴男、小田原豊、ヤヒロトモヒロらhotbombomsのメンバーを中心に、細野晴臣、竹中直人、トータス松本、増井朗人(ex.ミュート・ビート)、スカパラホーンズといった長い音楽人生の中で出会ってきた友人たち、さらには元スーパーバタードッグの竹内朋康とMeg、元PE’ Zのヒイズミマサユ機と門田 “JAW” 晃介、シンガーの久和田佳代、女性ファンク・バンドBimBamBoomといった、s-kenが現在までにプロデュースしてきた面々など、総勢34人のミュージシャンが参加。

s-ken&hotbombomsが展開してきた、ファンク、R&B、ブーガルー、スカ/レゲエ、スウィングなど様々なルーツ・ミュージックのエッセンスを、パンク/ニュー・ウェイヴを通過したセンスで再構築していくサウンドはさらに研ぎ澄まされ、切れ味を増している。そこにs-ken自身のポエトリー・リーディングのようなトーキング・ブルースのような歌が乗るのだが、吐き出されたリリックもまた鋭利なナイフのようにヒリついていて、70歳という年齢を感じさせぬルーディーっぷりがたまらない。

一方で、先に旅立ってしまった友人たちへのレクイエム「千の目、 友にはふさわしき贈り物を」のように、齢を重ねてきた今だからこそ感じる悲哀も所々に滲んできて、s-kenが描いていく乾いた世界に、なんともいえない深い味わいを与えている。

40数年にも及ぶキャリアを経てもなお、これほどにも刺激的な作品を生み出したs-ken。そのあふれる創作意欲とヒップであり続ける姿勢に、ただただ脱帽の一枚だ。

s-ken
『Tequila the Ripper』

(apart. RECORDS)


official website
http://s-ken.asia/


s-ken & hotbomboms
『テキーラ・ザ・リッパー』リリースパーティ

5月26日(金)東京・六本木 Billboard Live TOKYO

詳細はBillboard Live TOKYO websiteを参照ください。