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銀河鉄道999(The Galaxy Express 999)〜あの感動のクライマックスシーンは主題歌の歌詞に合わせて変更された!?ある世代を夢中にさせた名曲の魅力

“ある世代”にとってはたまらなくノスタルジックな気持ちにさせられる名曲がある。
この「銀河鉄道999(The Galaxy Express 999)」も、そんな歌の一つだろう。
1979年7月1日に、当時人気絶頂だったバンド、ゴダイゴがリリースしたシングルである。
松本零士のSF漫画『銀河鉄道999』を原作とした、劇場版アニメ作品の主題歌として起用されたもの。
クレジットを見れば、作詞は奈良橋陽子(英語詞)・山川啓介(日本語詞)、作曲はタケカワユキヒデ、編曲はミッキー吉野と記されている。
オリコンチャート最高順位は週間2位、1979年度年間14位、当時の売り上げは60万枚を超えたヒットソングである。


この歌は“アニメ史に残る名曲”として多くの人に愛されてきた。
一体何がそんなにまで琴線に触れるというのだろう?
それはこの映画を観たほとんどの人が、主題歌が流れるラストシーンの印象を強く覚えているからだと言われている。
当時、ゴダイゴの事務所の専務だった加藤悠は当時のことをこう振り返っている。

「あれは少年が大人の男に成長してゆくプロセスを描いた作品であって、たくさんの子供達が観るアニメでもありました。たしか当初のラストシーンはメーテルが去って行ったあとは鉄郎がただただ悲しみに落ちるという話だったんですが…主題歌を製作するにあたってタケカワやミッキーを中心に作詞作曲チームで考えたんです。彼らの凄いところはテーマをとことん突きつめて曲を仕上げるというところなんです。別れは確かに悲しいことではあるけれども、同時に“希望”でもあるのだと。そうしないと絶望のまま終わってしまう。それで歌のテーマを“過去を振り捨てて、明日に向かう”という設定にしたんです。」

なんと映画のラストシーンは、この主題歌に合わせて変更されたという。
映画の最後に描かれる鉄郎とメーテルの別れ。
メーテルが999に乗って旅立ってゆく。
鉄郎は「メーテル!」と叫んで涙を流す…。
999が空の彼方に消えた瞬間にこの曲のイントロが流れ出す。


メーテルは999に乗る直前に鉄郎に別れのキスをする。
鉄郎にとっては、メーテルとの別れであるのと同時に、少年期との別れでもあることを、このラストの展開は物語っているのだ。
少年から大人の男になること…これを「別れも愛のひとつ」という言葉で端的に表現しているのだ。


メーテルは999に乗って彼方に消えてゆく…。
そして鉄郎も「地平線」に向かって歩き出す。
その鉄郎の瞳は、少年から「男」になっている。
この歌に登場する「君」とは鉄郎のことであるのと同時に、当時この作品を観ていた少年少女のことでもあったのだ。
深い感動と共に、多くの共感を得たこの“人生の旅立ち”を見事に描いたクライマックスシーンは、当時少年だった人達の心のスクリーンに眩しく焼きついているという。









<引用元・参考文献『フォーク名曲事典300曲』/富澤 一誠(ヤマハミュージックメディア)>


【ゴダイゴ オフィシャルサイト】
http://godiego.co.jp/godiego/






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【TAP the POP佐々木モトアキ執筆記事】
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