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ペイトン牧師のビッグ・ダム・バンド──ルーツ音楽をパンキッシュに換骨奪胎するワイルドな3人組

オーバーオールから太い腕っぷしを覗かせドブロギターを抱える髭もじゃの巨漢、大きな花柄のワンピースにウォッシュボードを持った笑顔のふくよかな女性、ハットを被ってあたたかい眼差しを向けるドラマー──戦前のアメリカン南部の片田舎にでもタイムスリップしたような写真のこの3人組が、今回紹介するペイトン牧師のビッグ・ダム・バンド(The Rev. Peyton’s Big Damn Band)である。

1981年、米国インディアナ州に生まれたレヴェランド・J・ペイトン(レヴ・ペイトン)は、12歳の頃からはじめたギターで、ロバート・ジョンソンやチャーリー・パットンといった戦前ブルースをはじめ、ブルース、ロックに触れていったという。その後、パートナーであるブリージー・ペイトン(ウォッシュボード)らとバンドを結成。2006年にはデビュー・アルバム『Big Damn Nation』を発表した。年間250本近くツアーで各地を回りながら、コンスタントに作品もリリース。中でも3作目のアルバム『The Waves』(2010年)に収録された「Clap Your Hands」は、YouTubeで72万回以上も再生され、続くアルバム『Betweenthe Ditches』(2012年)もiTunesのブルース・チャートで1位を記録した。

バンドとしては6作目のオリジナル・アルバムとなるのが、今回日本国内盤としてもリリースされる『So Delicious!』。ブルース、カントリーなどの復刻レーベルとして名高い〈Yazoo〉から発表された本作は、彼らが敬愛する戦前ブルースやゴスペル、ラグタイム、フォーク、ジャグ・バンドなどアメリカン・ルーツ・ミュージックの数々を吸収しながら、プリミティブかつエモーショナルに吐き出した傑作。フィンガーピッキングで弾きまくるペイトンのギタープレイは豪快かつテクニカル。ユーモラスなソングライティング・センスも光る迫力ある歌も相まって、ノスタルジックでいながらパンキッシュに聴き手の心をロックしていく。


ペイトン牧師のビッグ・ダム・バンド
『So Delicious!』

(Yazoo / P-VINE)


official website
http://www.bigdamnband.com/
http://p-vine.jp/artists/the-reverend-peytons-big-damn-band

ペイトン牧師のビッグ・ダム・バンド「騒ぎを起こそうぜ」 歌詞対訳付きMV
ペイトン牧師のビッグ・ダム・バンド「ポットローストとキス」 歌詞対訳付きMV
ペイトン牧師のビッグ・ダム・バンド「Clap Your Hands」 MV