フォークソングのコレクターでもあった詩人で作家のカール・サンドバーグと、フォークやブルースなどを問わずヨーロッパやカリブ海でも録音をしたアラン・ロマックスによって、1920年代に見出された「スループ・ジョン・B」は、バハマ諸島に広まっていた古くからの伝承歌だったという。
それが1940年代から1960年代前半に起こったフォークリバイバル(folk music revival)で、1958年にキングストン・トリオのヴァージョンによって有名になった。
その翌年にはジョニー・キャッシュが唄い、その後もウェイロン・ジェニングスなどのカントリー・シンガーたちが取り上げたことで、スタンダード・ソングになっていく道がひらけた。
キングストン・トリオ 1958年 – The Kingston Trio
ビーチボーイズ 1966年 – Pet Sounds
ブライアンはビートルズが1965年に発表したアルバム『ラバー・ソウル』に大きな刺激を受けて、ツワモノ揃いのスタジオ・ミュージシャン集団だったレッキングクルーとともにスタジオに入って、緻密な構成のコンセプト・アルバムとして『ペット・サウンズ』を完成させている。
しかしコンセプト・アルバムの形をとった『ペット・サウンズ』は、歌詞が内省的だったこともあって、それまでのビーチ・ボーイズが打ち出してきた明るいサーフィン・ミュージックや、ホットロッドからかけ離れていた。
あまりにも時代の先を行き過ぎたのではないかとレコード会社は心配し、商品性が低いという理由でそれほどプロモーションに協力する姿勢を見せなかった。
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アルバムの7曲目の収められた「スループ・ジョン・B」は、アルバムの中で唯一、ブライアンのオリジナル曲ではない。それはキングストン・トリオのヴァージョンを発展させたもので、コーラスとサウンドが次第に厚くなっていくところや、隠し味のように微妙で繊細なサウンドが斬新かつポップだった。
1年前に録音済みだった「スループ・ジョン・B」を、アルバムに加えるようにと勧めたのは、メンバーの一人だったアル・ジャーディンである。もともとフォークソングに造詣が深くてこの曲を気に入っていたアルは、ビーチ・ボーイズのレパートリーに取り上げた張本人だった。
若い船乗りが唄うどこか頼りなくて情けない歌詞なのだが、そこはかとないユーモアが感じられて、シングル・カットされると全米チャートで3位まで上昇するヒットになった。
それから50年後、ブライアン・ウィルソンとアル・ジャーディンのヴォーカルによる「スループ・ジョン・B」が、キャピトル・レコードのスタジオでレコーディングされた。まったく衰えが感じられない二人の歌声に、多くの人たちから称賛の声が上がった。
ビーチボーイズ 2016年
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