TAP the POP

英国ロックの伝説〜ザ・フーほか

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「TAP the COLOR」連載第45回

今回は英国ロックの伝説に酔いしれたい。ザ・フーの知的な文学性と大音量の破壊性。ジョンの愛の静かな喪失と荒れた心の風景。マーク・ボランのロックンロール賛歌とグラマラスさ。ストーンズの常識外れなワイルドさとアメリカ南部探究。そのどれもが音となり歌詞となって、聴く者の左胸の中で混ざり合い吸収されていく。

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ザ・フー『Quadrophenia』(1973)
1960年代半ば、ロンドンのモッズカルチャーの顔役だったザ・フーによる、すべてのモダニストに捧げたロックオペラ。ブックレットに綴られたピート・タウンゼントの文学に酔いしれつつ、9月7日にあの世に旅立ったキース・ムーンを想う。印象的な写真はイーサン・ラッセル。1979年に映画化されてネオ・モッズのバイブルに。東京モッズシーンにも影響大。


ジョン・レノン『Rock ‘n’ Roll』(1975)
ジョン・レノンがヨーコと別居して酒浸りの荒れた生活を送っていた、いわゆる「失われた週末」の時期にまずはフィル・スペクターと共に制作。それから1年後の1974年10月に新たに追加録音されたR&Rのカヴァー集。ゆえに混乱した精神の中で原点回帰的な心の風景を感じずにはいられない。「Stand by Me」はやはり名作だ。

T・レックス『The Slider』(1972)
前作『Electric Warrior』でグラムロックの顔役になったマーク・ボラン。本作はポップさを押し出しつつも、血が騒ぐようなロックンロールの躍動が詰まったナンバーが立て続けに聴ける。「Metal Guru」や「Telegram Sam」などすべてがスタイリッシュでグラマラス。ジャケット写真はリンゴ・スターが撮影した。

ローリング・ストーンズ『Exile On Main St.』(1972)
1971年、税金対策で英国を脱出したストーンズは、リヴィエラ海岸が一望できるフランスのコート・ダジュールのキース・リチャーズの別荘“ネルコート宮殿”の地下室で録音を開始。その常識外れなキース流儀の本作は彼らの最高傑作であるばかりでなく、「ロック史上最強のアルバム」と称される。ジャケットは写真家ロバート・フランクが撮影。

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