TAP the POP

MTVアンプラグド①〜エリック・クラプトン/ケイティ・ペリーほか

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「TAP the COLOR」連載第109回

1989年11月26日に最初の企画が放送された「MTVアンプラグド」は、翌90年よりレギュラー番組化。90年代ロック/ポップの人気ジャンルとして確立するまでに至る。ポール・マッカートニー、エリック・クラプトン、ボブ・ディラン、ニール・ヤング、ブルース・スプリングスティーン、キッス、エアロスミス、ニルヴァーナ、パール・ジャム、ノエル・ギャラガーなど様々な顔ぶれが出演してきた。

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エリック・クラプトン『Unplugged』(1992)
アンプラグド・シリーズの中で最大の成功を収めたのがクラプトンのこの1枚。全米だけで1000万枚以上をセールス。ブルースのカバーのほか、「Layla」の渋いヴァージョンや大ヒット「Tears in Heaven」などが聴ける。従来のファンだけでなくクラプトンを知らなかった世代にもこれを機に浸透し、次作のブルース・アルバム『From the Cradle』は全米1位の快挙。


キッス『Kiss Unplugged』(1996)
アンプラグドの面白さの一つは、もちろんハードロックバンドによるアコースティック演奏だが、キッスにはぴったりの企画だっただろう。さらにこのステージにはクライマックスで元メンバーの二人(エース・フレイリーとピーター・クリス)が登場する模様もあり、これを機にポール・スタンレーとジーン・シモンズがオリジナル・メンバーで再結成を決意。久しぶりにメイクを施してワールド・ツアーを実現させた。


マライア・キャリー『MTV Unplugged』(1992)
90年代後半以降は、音楽性そのものよりセレブリティの代名詞的存在になってしまったマライアだが、90年代前半の頃はまだまだ初々しさが残る歌姫のイメージが強かった。2枚のアルバムが立て続けにヒットした後の本作では、そんな彼女の初期の歌声が堪能できる。ジャクソン5のカバー「I’ll Be There」が聴きどころ。


ケイティ・ペリー『MTV Unplugged』(2009)
現在、世界で最高の歌姫でありエンターテイナーの一人であるケイティも、キャリア初期にアンプラグドを残している。本作はまだ大ブレイクする前のステージだが、その魅力は十分に伝わってくる。そして彼女は翌年『Teenage Dream』で大化けする。最先端のポップ・ミュージックのアンプラグドという点でも軽視できない1枚だ。


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