ジョー・ストラマーが心臓疾患により、突如としてこの世を去る日からおよそ1ヶ月前の2002年11月15日。
ロンドン西部のノッティング・ヒルにあるアクトン・タウン・ホールでは、消防団組合のストライキを支援するチャリティイベントが催され、ステージではジョー率いるメスカレロスがライブをしていた。
クラッシュ時代から労働階級の側に立って歌ってきたジョーは、主催側からのオファーを二つ返事で受けたという。
2曲目が終わると、ファンに向けてジョーから嬉しい情報が伝えられた。クラッシュでのかつての相棒、ミック・ジョーンズも今日のステージを観に来ているというのだ。
この日、ミックは一緒に観に行く予定だった友人がドタキャンしてしまい、行くのをやめるか迷ったという。そして悩んだ末に、タクシーを捕まえて会場へと足を運んでいたのだ。
ジョーがミックをクラッシュから解雇したのは1983年のこと。のちにジョーはこの判断を最大の過ちと後悔しており、クラッシュも翌1984年には解散してしまう。
2人はすぐに和解こそしたが、プライベートで親しく付き合っていても共に演奏することはなかった。しかしジョーはミックとの音楽活動を望んでおり、「曲をつけてほしい」とミックに詩を送ったりしていた。
ライブ本編が終わってアンコールで再び登場したメスカレロスが1曲目に演奏したのはクラッシュの「Bankrobber」だった。ミックはイントロを聴いた瞬間に、ステージに上がるよう背中を押される気がしたという。
曲の途中、ミック・ジョーンズがギターを持ってステージに登場すると会場は割れんばかりに沸いた。19年ぶりにジョーとミックの二人によるライブが実現した瞬間だった。
曲が終わるとジョーはミックに声をかける。
「よし、ギターを任すぜ、赤ん坊に聴かせてやりな」
バンドに「Aのキーで行くぞ」と指示すると、クラッシュのデビュー・シングル「White Riot(白い暴動)」を演奏する。
この日の最後を飾ったのは「London’s Burning(ロンドンは燃えている)」だった。消防団のチャリティ・ライブの締めくくりに打ってつけの曲だ。
ロンドンは今、退屈すぎて燃えている
ロンドンは燃えている ダイヤル99999に電話するんだ
この日のジョーについて、妻のルシンダはこう語っている。
「会場から出て行くタクシーに乗ったジョーに、ミックの飛び入りはどうだったって聞いたの。満面に笑顔を浮かべて振り返ったわ。『生意気な奴だな』って。本当に満足してた」
※このコラムは2014年5月27日に公開されたものです
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