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「幻惑されて」に幻惑されたレッド・ツェッペリン

2010年、ひとりの男がジミー・ペイジを提訴した。レッド・ツェッペリンのファースト・アルバムに収録され、初期の代表曲となった「幻惑されて」が、彼の権利を侵害している、というのである。

男の名前はジェイク・ホームズ。1939年、サンフランシスコ生まれの彼は、1967年に「Dazed and Confused 」という楽曲を発表している。そしてそれはツェッペリンの「幻惑されて」の原題そのものだった。70歳を過ぎたジェイク・ホームズは自らの名前を残そうと思ったのだろうか。

そして2年後、両者は和解。現在では「幻惑されて」は、ジェイク・ホームスによってインスパイアされた楽曲として登録されている。

ジミー・ペイジがジェイク・ホームスの楽曲に出会ったのは、まさに1967年のことだった。当時、ジミー・ペイジはヤードバーズのギタリストとしてアメリカツアーの最中だった。

8月25日。ヤードバーズはニューヨークのヴィレッジ・シアターでステージに立っていた。そしてこの日の前座が、ジェイク・ホームスだったのである。

ジミー・ペイジはジェイクのステージを見ていない。だが、ヤードバーズのドラマーだったジム・マッカーシーが、その楽曲に魅入られたのである。

それはムーディーな曲で、俺は次の日、ジェイク・ホームスのアルバムを買った。そしてヤードバーズのメンバーに聴かせた。ベースラインをいかして、アレンジし直したらいけるんじゃないかとね。



ジミー・ペイジもその翌日、レコードを手に入れている。ヤードバーズのボーカル、キース・レルフは詩を書き直した。ジミー・ペイジは、ギター・リフを考えた。ヤードバーズは「アイム・コンフューズド」というタイトルで、この曲を披露している。


ジミー・ペイジはこの曲に可能性を感じたのだろう。彼は更にアレンジを発展させ、レッド・ツェッペリンのファースト・アルバムに収録するとともに、初期のステージで重要な位置を占める曲にまで仕上げていったのである。

ところで、ジェイク・ホームスに対しても、いくつかの影響が指摘されている。ひとつはブルース・プロジェクト。もうひとつがバーズである。

ブルース・プロジェクトは1965年に、グリニッチ・ヴィレッジで結成されたバンドである。既存のポップミュージックのルールを大きく打ち破った彼らは、ブルース、ジャズ、フォーク、あらゆるジャンルの音楽をごちゃまぜにしたようなサイケデリックなバンドで、1967年に解散している。

「鶏が先か卵が先か、だね。どの影響を受けたなんて、わからない。確かに私は、ブルース・プロジェクトを見ていたし、バーズは大好きだった」


ジェイク・ホームスはそう語っている。

一冊の雑誌には、多くの著者、ライター、カメラマン、校正者などが参加している。「幻惑されて」にも、多くの要素が織り込まれているのだろう。そしてジミー・ペイジはその雑誌の有能な編集長だった、ということなのだろう。



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