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エリック・クラプトンの「レイラ」を聴いてギターを始めたエド・シーラン

年末年始には紅白歌合戦など毎年恒例のテレビ番組が様々にあるが、英BBCで毎年大晦日に放送されているのが、「フーテナニー」だ。

元スクィーズのジュールズ・ホランドが司会を務めて様々なゲストを招く音楽番組で、2017年にはエド・シーランが出演し、エリック・クラプトンの「レイラ」をカヴァーした。


自身が影響を受けたアーティストとして様々なミュージシャンの名を挙げているエド・シーランだが、こと音楽をはじめたきっかけに関して言えば、先週紹介したヴァン・モリソンと、エリック・クラプトンの2人を挙げている。

エドの父親はアイルランドの血を半分引いており、ヴァン・モリソンをはじめとするアイルランドの音楽をよく聴いていたが、それだけでなくビートルズやボブ・ディランなども聴いていた。そんな音楽好きの父親に連れられ、幼い頃からエドはよくコンサートを観に行っていた。

2002年の6月3日、当時11歳だったエドは家族とともにバッキンガム宮殿に来ていた。この年はエリザベス2世が1952年に即位してから50周年という節目であり、バッキンガム宮殿では過去50年間のヒットソングを振り返るコンサート「パーティー・アット・ザ・パレス」が予定されていた。

クイーンのブライアン・メイによるイギリス国家の演奏で幕を開けると、若手からベテランまで様々なアーティストが次々に登場し、後半にはエルトン・ジョン、ブライアン・ウィルソン、スティーヴ・ウィンウッド、レイ・デイヴィス、ロッド・スチュワート、ポール・マッカートニーなど、豪華絢爛なロックミュージシャンがコンサートに華を添えた。

宮殿前の通りであるザ・マルやヴィクトリア記念碑の付近には推定100万人ほどの人たちが集まり、テレビ中継の視聴者数は2億人ともいわれるこの国家的規模のコンサートで、会場内に入ることができたのは抽選で当選したわずか1万2千人だけだった。

エド・シーランがその一人に選ばれたのは、まさに幸運であった。そのコンサートで、誰よりもエドの心を掴んだのがエリック・クラプトンだった。

「彼が虹色のストラトキャスターとともにステージを歩き、『レイラ』の最初のリフを弾いた瞬間は忘れられないよ」



コンサートの2日後、エドはストラトキャスターの形をコピーした黒いギターを買ってもらった。それから1ヶ月は「レイラ」のリフを弾けるようになろうと、四六時中ギターの練習をしていたという。クラプトンの「レイラ」によって、エド・シーランはギターを弾くきっかけを得たのだった。

そんな両者は、互いの音楽に対する敬意もあってプライベートでも親交を深めていき、2016年にはクラプトンのアルバム『アイ・スティル・ドゥ』に、アンジェロ・ミステリオーソという偽名で、エド・シーランが参加している。

この偽名は、エリック・クラプトンにとって唯一無二の友人だったジョージ・ハリスンが、クリーム最後のスタジオ・アルバム『グッバイ・クリーム』に参加した際に使った偽名、ランジェロ・ミステリオーソから来ている。エドにとってこの名前を使わせてもらったことは、何よりの名誉だったに違いない。


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