TAP the POP

We Are The World〜チャリティソングの金字塔となった歌

それはMTV全盛期と言われた、1980年代中頃の出来事だった。

──1984年の12月24日にボブ・ゲルドフ(ブームタウンラッツ)とミッジ・ユーロ(ウルトラボックス)の呼びかけで、アフリカの飢餓と貧困を解消する目的で作られた歌「Do They Know It’s Christmas?」が発表され、“バンド・エイド”というチャリティーキャンペーンが大きな成功を収めた。


参加ミュージシャンは、ポール・マッカートニー、フィル・コリンズ、デヴィッド・ボウイ、U2、カルチャークラブ、デュラン・デュラン、バナナラマ、ビッグ・カントリー、ポール・ヤング、ポリス、スタイル・カウンシル、ウルトラボックスなど、イギリス〜アイルランド系の新旧アーティストによるものだった。

それに呼応するようにしてアメリカで発表されたのが、ハリー・ベラフォンテの発案を経て、錚々たる顔ぶれが集まった「We Are The World」だった。

“USAフォー・アフリカ”という旗の下、マイケル・ジャクソンとライオネル・リッチーの呼びかけに応じたのは、アメリカのポップス界を代表するアーティスト達だった。人種、性別、音楽ジャンル、宗教、キャリアもそれぞれ異なる彼らの“想い”は、国境を超えてその夜一つになった。

そこにはバンド・エイドの中心人物ボブ・ゲルドフの顔も含まれていた。普段は高額な出演料や印税をもらっている総勢45人のトップスターが、エチオピア難民救済のためにノーギャラで集結したのだ。


【参加アーティスト(五十音順)】
アル・ジャロウ
ウィリー・ネルソン
ウェイロン・ジェニングス
キム・カーンズ
クインシー・ジョーンズ(プロデューサー及び指揮)
ケニー・ロギンス
ケニー・ロジャース
ジェフリー・オズボーン
ジェームス・イングラム
ジャッキー・ジャクソン
シンディ・ローパー
シーラ・E
スティーヴィー・ワンダー
スティーブ・ペリー
スモーキー・ロビンソン
ダイアナ・ロス
ダリル・ホール&ジョン・オーツ
ダン・エイクロイド
ディオンヌ・ワーウィック
ティト・ジャクソン
ティナ・ターナー
ハリー・ベラフォンテ
ヒューイ・ルイス&ザ・ニュース
ビリー・ジョエル
ブルース・スプリングスティーン
ベット・ミドラー
ポインター・シスターズ
ボブ・ゲルドフ
ボブ・ディラン
ポール・サイモン
マイケル・ジャクソン
マーロン・ジャクソン
ライオネル・リッチー
ラトーヤ・ジャクソン
ランディ・ジャクソン
リンジー・バッキンガム
レイ・チャールズ

このテーマ曲「We Are The World」の作詞作曲は、マイケル・ジャクソンとライオネル・リッチーが共作で行い、プロデュースはクインシー・ジョーンズが担当した。

参加アーティスト達が1フレーズずつ、それぞれのスタイルで歌うというビデオクリップが世界中で放映され、レコードの売上はアメリカ国内だけでシングル400万枚、アルバム300万枚に達したという。

この歴史的なセッションの数日前の1月22日、ケニー・ロジャースが所有するライオン・シェア・スタジオにて、クインシー・ジョーンズ、マイケル・ジャクソン、ライオネル・リッチー、スティーヴィー・ワンダーが集まって先行レコーディングを行い、翌日にマイケル・ジャクソン、ライオネル・リッチーによるデモテープが完成し、参加者に送られた。

そして1985年1月28日の夜──

レコーディングに参加したメンバーの多くは、『第12回アメリカン・ミュージック・アワード(AMA)』への出演スケジュールが重なっていた。

マイケル・ジャクソンは「We Are The World」のガイドボーカルを先行してレコーディングするために、AMAを欠席した。他の参加アーティスト達はAMAの会場を後に、ハリウッドのA&Mスタジオに直行してレコーディングを行ったのだ。

わずか数時間前にライオネル・リッチーはAMAのホストを務め、シンディ・ローパーとティナ・ターナーは華やかなステージライトを浴びて歌っていたのだ。

その影響もあってか、スタジオに到着した出演者達の間には、当初緊張感が少なく、この曲の持つ重要性を忘れ始めていた。

そんな状況に“バンド・エイド”の発起人であるボブ・ゲルドフは疑問を感じ、アフリカで起こっている惨状を、出演者達にとうとうと語り出したという。

その結果、話が終わる頃にはミュージシャン達の目の色は変わっており、中には涙を浮かべる者もいるほどだった。その後のリハーサルで、ゲルドフは「ブルース・スプリングスティーンやダリル・ホールの真剣さに圧倒された」と語っている。

──そしてスタジオの中で、“予定にはなかった”歌声と笑顔の輪が生まれた。

もともとこの「We Are the World」は、社会活動家・エンタテイナーのハリー・ベラフォンテの発案によるものだった。錚々たる顔ぶれをレコーディングのために集めて、利益をすべて慈善事業に寄付するというのはベラフォンテの夢であった。

彼の尽力を称え、スタジオの中のスターたちは、彼のヒット曲「Day-O (The Banana Boat Song)」〔邦題:バナナ・ボート〕を即興で歌い始めたのである。


我々に今正しい行いをするときがやってきた
世界が一つになって協力するときが

私達自身が地球なんだ
私達は皆地球の子供なんだ
そしてこの地球をまた輝かせるのは私達自身なんだ
だから与えることからはじめよう



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