1970年代になってすぐに、二人は渋谷の音楽喫茶『青い森』で出会った。ほどなくしてチャボは、実に多忙な日々を過ごすことになる。それまでバンド形体として活動していた「古井戸」がフォークデュオとしてメジャーデビューし、苦手なTV番組などにも引っ張り出されながら全国を駆け回ったのだ。
その少し前にフォークトリオとしてデビューをしていた清志郎にとっても、この頃は慌ただしい時期だった。年明け早々に、アルバム『初期のRCサクセション』を発売。シングルカットした「ぼくの好きな先生」で、ようやくRCサクセションの名が全国で知られるようになる。夏にシングル「キミかわいいね」、年末には「三番目に大事なもの」、そしてアルバム『楽しい夕に』と、リリースラッシュが続いた。
そんな中、清志郎はチャボとの出会いについて、寄稿文(某雑誌社が特集した“古井戸・特集号”に寄せたもの)を書いた。そこには、彼等の“友情の起源”が瑞々しく綴られていた。二人の物語は、一つのチョコレートから始まった。
『青い森』は一階が普通の喫茶店で、コーヒー・紅茶が90円、スパゲッティーは120円でした。チャボはよくスパゲッティーを食べてました。地下にステージがあって、毎日3〜4グループが出演していたのですが、そのうち古井戸と、何回目かの一緒になった日、まだ客が一人もはいっていないセッティングの時に、チャボからチョコレートをもらいました。その時はじめて、当時四人編成から三人になった古井戸と口をききました。ほんのちょっと話しただけです。
僕達はだんだん仲良くなっていきました。一緒に演奏したり、お互いにステージで悪口を言い合ったりするのは、とても素敵でした。とりわけ僕とチャボは仲良くなりました。僕はアパートを出なければならなくなったとき、ギターとちょっとした荷物をさげて、三人のところを渡り歩いていました。仕舞にはずっとチャボのところで寝起きするようになりました。チャボのアパートにだけお風呂があったし、僕と彼とは友達になったからです。
僕とチャボのしてきたことが、とてもよく似ていたのです。その後、二人で一人の女のコを好きになってしまったこともありました。
[『I STAND ALONE』/仲井戸麗市〜キヨシロー寄稿文(’72)より]
RCサクセションの活動休止後、しばらく経った1994年。清志郎とチャボは、TV番組の収録で久しぶりに再会を果たした。北海道・美瑛町の草原に行き、RC時代の名曲達を“二人きり”で歌い演奏した。
[『GLAD ALL OVER』(DVD)収録]
以前と違って、清志郎くんとは日常で会うような関係から少し変わってきてた時期だった。でもあいつに子供が生まれたりして、俺にとってもその子供がかわいいもんだから、ときどきは会ったりして個人的な付き合いはあったんだけど。
いわゆる仕事としての付き合いからは少し遠ざかってたところに、あの話が来て。お互い少し照れながらも、「お前元気かよ?」みたいなね。久しぶりの再会だったから新鮮だったし、気分が盛り上がってたよね。「再会できるんだ」っていう嬉しさがお互いにあったんだよね。
あの大自然の雰囲気とか、フィーリングとかも凄く合って。自分たちの中でも何か“特別な感じ”があったと思う。
[TAP the POP仲井戸“CHABO”麗市スペシャルインタビューより]
(トップの写真:おおくぼひさこ)
仲井戸麗市『I STAND ALONE』
『GLAD ALL OVER』
忌野清志郎&仲井戸”CHABO”麗市が4年ぶりにステージに並び立ったライブを収録。
特典映像としてテレビ特番で放映された2人の共演番組『EVERYDAY WE HAVE THE BLUES -生きる-』より「宝くじは買わない」「上を向いて歩こう」の2曲を収録。
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