TAP the POP

アイルランドとウイスキーと音楽と〜ポーグスほか

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「TAP the COLOR」連載第73回

ロックやカントリー音楽のルーツであり、ウイスキー発祥の地でもあるアイルランド。その音楽的魅力を知ろうとする時、祖国やイギリスだけでなく、アメリカへ渡って過酷な運命を生きた移民たちの物語を開かなければ何も始まらないと言われている。
(アイルランドと移民の旅はこちらから)
祖国アイルランドの音楽的風景
アイルランド系移民と“ハイロンサム”
Roots of Rock──ある風景
【GREEN】アイルランドの血と誇り~ヴァン・モリソンほか

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ポーグス『If I Should Fall from Grace with God』(1988)
パンクムーヴメント全盛期に思春期を過ごしながら、自身のルーツであるアイリッシュであることに拘り、酒と音楽を愛しながら活動した男シェイン・マガウアン率いるポーグス。コステロもストラマーもその才能に惚れまくって乾杯した。本作は彼らの3作目で最高傑作。


カースティ・マッコール『Kite』(1989)
ポーグス繋がりで。大名曲「ニューヨークの夢」で酔いどれシェインとデュエットしたカースティ。父は英国トラッド音楽の重要人物イワン・マッコール。本作は評価が高い彼女の2作目で、夫のスティーブ・リリーホワイトがプロデュース。41歳での事故死が悔やまれる。

シン・リジィ『Live and Dangerous』(1978)
ダブリンに銅像まで建ってしまったアイルランドの英雄、フィル・ライノット率いたバンドのライブ作。少年時代は自らの褐色の肌に対する差別意識と向き合いながら、次第にアイルランド人としてのアイデンティティを確立したという。哀切感と流浪感が漂う一級のロック魂!
(こちらもお読みください)
フィル・ライノット~英雄になった褐色のアイルランド人ロッカー

U2『The Joshua Tree』(1987)
アメリカ巡礼3部作の1枚であり、世界中でビッグセールスを記録した。祖国を追放されたアイルランド移民たちが求めたアメリカという夢はあまりにも過酷な運命にあったという事実。バンドはそんな歴史と向き合いながら、移民たちや黒人たちが創った音楽と溶け合った。

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