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ギブ・ミー・ラブ~ジョージ・ハリスンはあの世で何を想っているのか

ロック・ミュージシャンといえば、過去でもなく未来でもなく、ただこの瞬間を生き切っているようなイメージがあるのだけれど、実は多くのアーティストが、前世について歌っている。

今日はアーティストたちの死生観について紹介しよう。

俺の前世のどこかの話だ
苦悩と血の人生だった
暗黒は美徳で、道は泥だらけだった


ボブ・ディランは、「シェルター・フロム・ザ・ストーム」の出だしでそう歌った。彼は今ある苦しみが、前世から持ち込んだ何かのように表現したのだ。

聖なるモーゼよ
僕は幽体離脱していたのです
霊に会いました
彼はここにいたのです
僕の知らない、でも僕の遠い先祖です


エルトン・ジョンは、「ボーダーソング」の中で過去生を語ることで、今は異国に暮らす人が霊的な親族である可能性を歌った。

宇宙の向こう側で安住の地が見つかればいいが
そうでなくても、俺は戻ってくるさ
雨粒として、それとも、ハイウェイマンとして


ジョニー・キャッシュがウィリー・ネルソンらと組んだユニット、ハイウェイメンの「ハイウェイマン」は、ひとりのアイルランド人の転生をテーマにした歌だ。

かつて追いはぎだった男は、船乗りになり、ダムの建設現場を指揮し、近未来では宇宙飛行士になっている。キャッシュは最後の宇宙飛行士のパートを担当し、そう歌ったわけだ。

誰もが死後の世界と生まれ変わりを信じている。それはミュージシャンたちにとっても同じだ。だが、この歌を最初に聴いた時、少なからずショックを受けたものだ。

愛をお与えください
愛をお与えください
この世に平和をお与えください


ジョージ・ハリスンの「ギブ・ミー・ラブ」は、そんな歌詞で始まる。だが、そこからが問題なのだ。

命をお与えください
命をお与えください
私を生まれ変わり(輪廻転生)から解放してほしいのです


ジョージがインド哲学に傾倒していたからこそ、の歌詞なんだろうけれど、今、ジョージはあの世で何を想うのだろうか。

確かに、ジョージが言うように、ひどい世の中だけれど、少しでもいい世界になってくれて、その想いを次の世代にも託して、そしてもっともっと素晴らしくなっているだろう世の中に、また生まれ落ちることを望むことはいけないことなのだろか。

僕らが先祖に対して誓えることがあるとすれば、それは何なのだろう。



George Harrison『Living in the Material World』
Capitol

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