この歌は、アメリカを代表するホワイトブルースの先駆者、ポール・バターフィールドが率いたバンドの記念すべきデビュー曲だ。

まず…“アメリカンロック”という音楽用語を紐解いてみると、こんな歴史的エピソードが浮び上がってくる。
それは「ロック」と「ロックンロール」が区別されて使われるようになった日。諸説ある中で、アメリカでは1965年7月25日がその日だと言われている。それはボブ・ディランがアコースティックギターをエレクトリックギターに持ち替えた瞬間だった。
その日、ディランがニューポート・フォーク・フェスティバルで初めて観衆の前でフォークとロックを融合させた時に、バックバンドとして従えていたのがポール・バターフィールド・ブルース・バンドだった。
60年代、アメリカにはフォークリバイバルの波が押し寄せ、アメリカが発祥であるはずのブルースを基調としたロックは(どちらかというと)、イギリス勢のクリームやブルース・ブレイカーズ等が受け継ぐ流れが生まれていた。
しかし、シカゴ出身のポール・バターフィールドのひたむきなブルースへのこだわりは、その後に台頭するサザン・ロックなどへの流れに大きな功績を残すこととなる。
ポール・バターフィールド・ブルース・バンドはイギリスのブルース・ブレイカーズ同様、何人もの名プレイヤーを排出していることでも知られている。ロック史上において重要な役割を果たしたバンドを率いたポール・バターフィールドとは、どんな男だったのだろう?
1942年シカゴのハイドパークで弁護士の父と画家の母との間に生まれたポールは、少年期にシカゴ交響楽団の下でフルートを学ぶ。
大学生時代には地元のブルースBARやクラブに出入りするようになり、マディ・ウォーターズを筆頭に“本物”の黒人ブルースマンたちの演奏を間近に見て衝撃を受ける。気がついた時には…手にする楽器をフルートからブルースハープに持ち替えていた。
そんなポールが得意とする“むせび泣く”ようなブルースハープは、名手リトル・ウォーター譲りだと言われている。そして1961年、19歳になると、シカゴの大学でギタリストのエルビン・ビショップと出会い意気投合する。
2人はすぐに“The Buttercups(バターカップス)”というバンドを結成して演奏活動を始める。21歳となった1963年に、地元シカゴのクラブで演奏をしてにいたサム・レイ(ds)とジェローム・アーノルド(b)を誘って、“The Paul Butterfield Blues Band(ポール・バターフィールド・ブルース・バンド)”を結成。
1965年にはマーク・ナフタリン(kb)が加わり、エレクトラレコードと契約を交わし、デビューシングル「Born In Chicago」をリリースする。

しかし、1966年にはドラムのレイ、翌年にはギターのブルームフィールドとベースのアーノルドが相次いで脱退。オリジナルメンバーのバターフィールドとビショップは新たなバンド再編成を迫られることとなる。
彼らが思いついたのは、ホーンセクションの導入によるジャズとブルースとロックをシンクロさせたサウンドへの切り替えだった。

その後、1968年に最も古くからパートナーだったギターのビショップが脱退。翌1969年には5thアルバム『Keep on Moving』からのリード曲となった「Love March」をヒットさせて、後に伝説となったウッドストック・フェスティバルにも出演。
上昇気流に乗ってさらなる活躍を期待されながらも…サウンド面でバターフィールドのブルースハープを全面に押し出し過ぎて人気が下降していく。そして1971年、バンドはついに解散。
その後、ポール・バターフィールドは“Better Days(ベターデイズ)”という新たなバンドを結成し、2枚のアルバムを発表するが、売り上げは芳しいものではなかった。
ディランを通じて親交の深かったザ・バンドのメンバーや、音楽の師とも言えるマディ・ウォーターズなどと活動を共にしながらも、だんだんと第一線から遠ざかってしまう。
長い低迷期を経て1986年にソロアルバムを発表してカムバックを果たすが…翌1987年5月4日に北ハリウッドのアパートで遺体となってが発見される。享年44。
死因は痛み止めとして服用していたモルヒネとヘロインの過剰摂取と鑑識された。不遇の時代だった1980年代に、耐え難い激痛をともなう腹膜炎で何度も手術を受けていたという。
The Paul Butterfield Blues Band
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執筆者/佐々木モトアキ
https://ameblo.jp/sasakimotoaki/entry-12648985123.html

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