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【冷牟田竜之】〜ライブイベント「音楽愛」出演者スペシャルインタビュー①

2025.02.06

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TAP the POP初ライブイベント「音楽愛(ONGAKU LOVE)」
出演者スペシャルインタビュー①〜冷牟田竜之


東京スカパラダイスオーケストラのメンバーとして1990~2000年代を駆け抜け、グループ脱退後の2008年以降は豪華メンバーが参加した“DAD MOM GOD”や、気鋭のミュージシャンを集めた“THE MAN”などのバンドを立ち上げてきた、冷牟田竜之。

この度ゲストプロデューサーとして、「音楽愛(ONGAKU LOVE)」をバックアップする彼に、新バンド“THESE THREE WORDS”について、そして自身にとっての「音楽愛」を語ってもらった。(取材・文/宮内 健) 

音楽の背景にあるストーリーを伝える姿勢に共鳴した


冷牟田 僕はもともと、TAP the POPをよく読んでいたんです。音楽のルーツや、その背景にあるストーリーを伝えようとする姿勢が、とてもいいなと思ってね。最初は気付かなかったんだけど、サイトの編集と執筆を、古くからの友人である中野充浩くんが手掛けていた。長年にわたって音楽の深い魅力を伝える活動を続けてきた彼が、今回新しい挑戦として「音楽愛」と銘打ったイベントを立ち上げるということで、とても期待しているし、協力したいと思ったんです。

──冷牟田さんは、東京スカパラダイスオーケストラを脱退後、DAD MOM GOD、THE MAN、MORE THE MANなどのバンドを立ち上げては、常にオリジナルな音楽のスタイルを追究されてきました。そして今回は、新バンド“THESE THREE WORDS”で参加いただくことになりましたね。

冷牟田 このTHESE THREE WORDSは、コロナ禍を経て組んだバンドです。きっかけはSNSから。当時はまだTwitterと呼んでいたけど、長野に高校生のすごいドラマーがいるっていう投稿が目に止まった。キング・クリムゾンの曲をドラムで演奏している動画がバズっていて、実際にクリムゾンのメンバーからのリプもあったりと、すごく盛り上がってた。その演奏を一見して、めちゃくちゃいいなと思って。荒木怜という名前で、当時はまだ高校2年生だったけど、いつか彼をバンドに誘いたいなって。その機会を狙っていたんです。

THESE THREE WORDSの演奏が今から楽しみ。スペシャルライブイベント「音楽愛」ではトリで出演予定!


冷牟田 コロナ禍の最中、さまざまな事情でMORE THE MANも稼働できなくなってしまって。次にどうしようと考えていたとき、あるDJイベントに遊びにいったら、ベーシストのKOSEという奴に出会った。その場では彼のプレイも聴いてなかったけど、会って話してみたらなんだかピンときてね。ドラムとベースが見つかって、自分もいるし、まずはこの3人をベースに始動させたのが、THESE THREE WORDS。3人で始まったから、THREEっていう言葉を入れたいなと思ってね。 スティービー・ワンダーの曲名から引用しました。

──ドラムの荒木怜さん、ベースのKOSEさん、そして冷牟田さんはアルトサックスとトースティングを担当。この3人が固定で、その他のパートは流動的というのも面白い形態です。

冷牟田 自由度の高い音楽をやりたくてね。自分の中ではスカっていう音楽の存在が大きいけれど、たとえばスカパラの初期なんかも、いろんな音楽を飲み込んでいってはどこにもないものをつくっていった。自分はそこが好きだったし、その姿勢こそがスカだと思っているところがあって。原点に立ち返って、また新しいバンドをやりたいなって思った時、スカパラが始まった時のことなんかを思い返して。昔もこうやって、一人ずつメンバーを拾っていってたよな、とかね。

──THESE THREE WORDSに参加しているメンバーは、20代が中心だそうですね。

冷牟田 そう。さすがに世代間の感覚のズレみたいなものがあるのかなと最初は思ってたんだけど、深く関わっていくと、意外とそれは感じない。同じようなものを好きとか、良いなと思えるような感覚がある程度共有できてれば、世代はあんまり関係ないのかも。楽器演奏の技量なんかよりも、そこを重要視してますね。今回のイベントには、ドラム、キーボード、ベース、ギター、パーカッション、トランペット、そして自分がアルトサックスの7人編成で出演します。

ルースターズのライブの衝撃が、自分の進路を決定づけた


──さて、今回のイベントは「音楽愛」というテーマを掲げているんですが、冷牟田さんがの人生の中で、音楽によって衝撃を受けた出来事や、音楽に救われた瞬間などはありますか?

冷牟田 十代の頃に一番を衝撃を受けたのがルースターズ。実は、ルースターズが初めてライブをやった場に自分もいたんです。

──そうなんですか!

冷牟田 小倉の楽器店の小さなスペースでよくライブをやっていたんです。その日はザ・ロッカーズ(註:陣内孝則を中心に結成されたバンド)を観に行ったら、何の告知もなくルースターズが出てきて演奏を始めた。1曲目は「Walking the Dog」だったと覚えてる。エイトビートなのに腰に来る、テンポが早くて直線的じゃないうねるようなビート感。前進バンドであった人間クラブのライブはそれまでにも観ていたけど、あまりの変わりようにびっくりして。

──それはすごい瞬間を目撃しましたね。

冷牟田 その頃、ローリング・ストーンズの1stアルバムをまだ聴いてなくて、言ってしまえば「Walking the Dog」も元ネタはそこなんだけど、それをうまいこと消化してめちゃくちゃかっこよくなってたんだよね。大江(慎也)さんは、スプレーかなんかで真っ黒に塗ったテスコのギターをかき鳴らして、4曲目で1弦も2弦も切れちゃって。チューニングも狂っちゃってるけど、そのギターで弾いたソロがまたよかった! その日は5曲ほどやって終わったんだけど、あの時の衝撃が、その後の自分の進路を決定づけたかな。

──そんな歴史的な場面に遭遇したら、たしかに大きな衝撃を受けそうです。

冷牟田 当時、大江さんは北九楽器って店で楽器を売ってたんだよね。それでストーンズの1stとか、ドアーズとか「こういうの聴いてみれば」っていろいろ教えてもらった。しかも井上富雄は同級生だしさ。その後、ルースターズはあれよあれよという間に東京に行って。僕はハイヒールっていうアマチュアバンドをやってたんだけど、池畑(潤二)さんの東京の家にしばらく泊めてもらったことがあって。

ルースターズが久保講堂で初めてライブをやって、それも観たんです。小倉でやってたイメージがあったのが、爆発的にバンドが大きくなってた。それでさ、やっぱり俺もやろうと思ったよね。別に楽器が上手いわけでもなかったし、根拠のない衝動だよ。そういうきっかけをもらえたのは、ありがたかった。

──そういった原体験があったからこそかもしれませんが、冷牟田さんはライブやクラブイベントなど、音楽の生の現場でうける衝撃や、そこで生まれる出会いをとても大切にしている印象があります。キャリアを重ねた今でも、あらゆるところに足を運んで、いろいろなジャンルや幅広い世代の人たちとつながっている。その機動力や好奇心の旺盛さに感服します。

冷牟田 人を引き寄せるには、やっぱり自分にある程度そのエネルギーがないと、そういうことって起こっていかないと思っているんです。だから、常に自分をリセットするためにも、いろんなとこに出かける。そして、何か力をもらってくるっていうのは、意識してやってるかもしれない。

自分自身としても、音楽に対する対峙の仕方が変わってきたようにも思います。ちょっと肩の力が抜けたというかね。今まで音楽活動の王道とされていたものが、今や王道じゃなくなってきてるでしょ。時代の大きな変革期に今いるわけで。ある意味でそこはね、この時代に生きててよかったなって思ってる。

──たとえば、考え方が変わったところは?

冷牟田 正直、音源をリリースしてその対価を得ていくっていうのは、今や考えてない。やるとしても、ほぼ無料に近い形でやるだろうし、もしくはアナログレコードの7インチのような商品価値があるものを出すとかはあるかもしれないけど。以前のように自分の活動を、お金に紐付けて進めていきたくない。

それよりも、観に来てくれる人にね、インスピレーションとか生きる力とか希望とか、そういうものを自分たちの集合体から拡散できるようなスタイルを目指してる。だから、ストリートライブもガンガンやるしね。

──冷牟田さんが在籍していたスカパラも、もともとは路上ライブで認知されていったバンドでした。

冷牟田 路上っていうのは、全く関心のない人たちが偶然見かけて、生の音楽と出会う。そこが一番の醍醐味なので。もちろんかなりアウェイな状態でやるので、通行人全部を巻き込んでやるぞっていう気持ちがね、どのくらい通用するのか。そこで培った感覚っていうのは、ステージに立ってライブする時にもダイレクトに生きてくるから。

世代的には、自分の息子とか娘とか、そのくらいの世代の人たちが、ストリートをやった後に話しかけてきたりしてね。そういうのって、やっぱりすごくいいなと思うし、あらためて可能性を感じてます。

──コロナ禍を経て、とくに音楽ライブの形は大きく変わりました。

冷牟田 そんな中でも自分たちはやっぱり、ひたすらその良質なエネルギーを発散できるようにしていきたい。そして、音楽をやっていくその姿勢を見てもらいたいということに尽きるかな。Do It Yourself、全部自分たちでやるっていうね。今までだったら音楽事務所がついて、イベンターや照明さん、PAさん……と、業界がもう一体化してるんだよね。ある程度大きな規模まで行くには、その枠組みをそのまま同じようにやるしかないのかもしれない。

だけど、その形が今は必須ではなくなってきてる。たとえば大型フェスに出ることも、今やマストではないしね。ライブのスタイルも、もっといろんな形があっていいと思うし、その意味でも、TAP the POPがこれからやろうとしているイベントが、何か新しいものを生み出すんじゃないか。そんな期待をもっています。

インタビュー時の冷牟田竜之さん(撮影/宮内健)。TAP the POPのロゴ入りTシャツを着てくれました。(入手方法は下段のお知らせをご覧ください)。

    冷牟田 竜之(ひやむた・たつゆき)

    1987年、BLUE TONICにてメジャーデビュー。1988年、東京スカパラダイスオーケストラへ加入後、1990年にメジャーデビュー。

    個人としての活動は、1988年に下北沢ZOOにてDJ開始。1990年には芝浦GOLDでレギュラーDJに抜擢され、本格的にDJ活動を開始。

    1999年、自身がプロデュースするイベントTabooをスタート。中村達也・チバユウスケらと共に、DJチームRoc-Brothers結成。Tabooは2006年の恵比寿ガーデンホールに、4000人の動員を誇るまでに成長。2013年には渋谷AXにて同イベントを開催し、オーディエンスを熱狂させた。

    現在、2バンドを牽引すると共に、DJ、プロデュースにおいても勢力的に活動中。

    THESE THREE WORDS

    冷牟田竜之が新たなユニットを結成。Happy go luckyな世界を目指す。荒木怜、KOSEに出会い、 2023年6月に3人でスタート。

    THESE THREE WORDS たった三つの言葉。これら3つの言葉。スティービー・ワンダーからのインスパイア。Latin、Ska、AcidJazz、Punk、NewWave 様々なジャンルを跨ぎ、冷牟田のフィルターを通して編みだすのは、変幻自在のサウンド。

    冷牟田竜之(A-sax Tos) KOSE(Bass) 荒木怜(Drums) Seco.Sunchez(Per) 細谷侑生(Tp) タケチエ(Key) kiyo(Gt) 。20代中心のメンバー構成、7人編成でフェスティバルを中心に活動中。

★2つの大切なお知らせ★


【一夜限りのスペシャルライブが実現! チケットはお早めに!!】

TAP the POPが初ライブイベント『音楽愛』(ONGAKU LOVE)を開催します。
豪華6組の弾き語り&バンドが出演。さらにゲストを迎えたトークショーも。
二度とないアーティストの組み合わせは、誰かに語れる貴重な体験になります。

プロデューサーに、ex東京スカパラダイスオーケストラ、イベント「Taboo」
を手掛ける冷牟田竜之氏を迎え、次世代の音楽シーンを担う新しい才能紹介
というテーマも取り入れました。

「もう何年も何十年もライブハウスに行ってない」
「生で音楽を楽しむことの興奮を取り戻したい」
……そんな人も大歓迎。“音楽愛”の復活を共に祝福しましょう!

TAP the POP 音楽愛 (ONGAKU LOVE)
2025.2.28 FRI @横浜 ReNY β
OPEN18:00/START18:30


▼出演
冷牟田竜之(ex東京スカパラダイスオーケストラ/Taboo)
山口洋 (HEATWAVE)
ショコラ&アキト(片寄明人/ GREAT3)
イエロースタッズ
THESE THREE WORDS(冷牟田竜之)
金子駿平
佐々木モトアキ
吉澤成友(YOUR SONG IS GOOD)



★チケット入手方法

※「通常チケット「スペシャルチケット」の2種類があります。

①通常チケット (人気上昇中につきお早めに!)
受付 : e+(イープラス)
受付期間 : なくなり次第終了
料金 : ¥6,600

▼通常チケットの購入はこちらから
https://eplus.jp/sf/detail/4257420001-P0030001P021001?P1=1221

②スペシャルチケット(リハ見学・記念撮影・サイン入りTシャツ・書籍・特設ページ名前入れなど数量限定)
受付 : CAMPFIRE(クラウドファンディング)
受付期間 : 2025年2月20日(木)18時まで
料金 : ¥8,000~¥50,000

▼スペシャルチケットの詳細・お申し込みはこちらから(CAMPFIRE内)
https://camp-fire.jp/projects/view/811070

▼スペシャルライブイベント『音楽愛』について
https://www.tapthepop.net/extra/127354


【ご支援ご協力のお願い】

「音楽が秘めた力を、もっと多くの人々に広めたい」
「音楽が持つ繋がりや物語を、次の世代に伝えたい」
音楽コラムサイト『TAP the POP』は、今後の活動に向けてクラウドファンディングを実施中です。



豪華6組の弾き語り&バンドが出演する一夜限りライブの「スペシャルチケット」をはじめ、参加できない人のために、“ここでしか手に入らない”グッズや書籍のリターンをご用意しました。

この機会にぜひ❝音楽愛❞を一緒に育ててくれませんか。応援よろしくお願いいたします(下記の「音楽愛」ページで経緯や想いを綴りました)。

~リターンメニューのご紹介~
♪初開催ライブイベントのスペシャルチケット(数量限定/2月20日締切)
♪Tシャツなど7種の限定デザイン&ロゴ入りグッズ
♪約4,000本の原稿から厳選するベスト盤的書籍
♪ご支援いただいた全員の方を「音楽愛メンバーの証」として特設ページで名前入れ

▼ TAP the POPクラファン「音楽愛」ページ(CAMPFIRE内)
https://camp-fire.jp/projects/view/811070

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