2008年1月にリリースしたデビュー・アルバム『19』が大ヒットし、翌年のグラミー賞では2部門を受賞、以来21世紀の新たな歌姫として活躍し続けるアデル。
1988年生まれの彼女は、幼い頃から歌うのが大好きだったという。
親がほとんど音楽を聴かなかったため、歌うのはもっぱらテレビやラジオから流れてくるヒット曲だった。
この頃に聴いていたアーティストとして、ローリン・ヒルやメアリー・J. ブライジ、スパイス・ガールズ、ディスティニーズ・チャイルドなどを挙げている。
そんなアデルの音楽的嗜好が変化したのは14歳のときだった。
それは地元のレコード屋に行ったときのことだ。
ジャズコーナーを通りすがったときにうっかり躓いてしまったアデルは、たまたま2枚のレコードジャケットが目に止まったという。
ずいぶん古いレコードだと思いつつもジャケットの写真、特に彼女らのファッションや髪型に興味を惹かれた。
そこにはエラ・フィッツジェラルド、そしてもう一枚にはエタ・ジェイムズと名前が書かれていた。
(イメージ写真)
アデルは2人のレコードを聴いたときについて、2008年にテレグラフ誌でこう語っている。
「エタとエラを聴いたときは安っぽい音だと思ったけど、それで私は目覚めたわ」
アデルは特にエタ・ジェイムズのほうは歌い方など大きく影響を受け、「毎晩1時間はエタ・ジェイムズを聴いていた」とも語っている。
アデルが生まれる50年前の1938年に生まれたエタ・ジェイムズ。
1955年に「ウォールフラワー」でレコードデビューを果たすと、いきなりR&Bチャートで1位を獲得、1960年にはチェス・レコードに移籍し、次々とヒット曲を生み出していった。
アデルが初めて聴いた曲だという「フール・ザット・アイ・アム」は1961年のナンバーだ。
女性R&Bシンガーの先駆けとして後続のシンガーたちに多大な影響を及ぼし、「ローリング・ストーンの選ぶ歴史上最も偉大な100人のシンガー」では第22位にランクインしているエタ・ジェイムズ。
アデルが特に心を動かされたのは、彼女がシンガー・ソングライターのように自身の歌を歌うのではなく、他人の書いた歌を歌っているのに、それを完全に自分のものにしているところだという。
この頃はまだ歌うだけで、曲を書くことはなかったアデルにとって、エタ・ジェイムズはまさに理想のシンガーだったのである。
そんな彼女に曲を書くきっかけを与えたのが、同じくエタ・ジェイムズから影響を受けたというエイミー・ワインハウスだが、それについては次回に紹介したい。
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