1969年の8月15日から3日間に渡って開催され、推定で40万人を動員したといわれるウッドストック・フェスティバル。
その模様は翌年の春先に映画『ウッドストック/愛と平和と音楽の三日間』として公開され、ジミ・ヘンドリックスをはじめとする数々のミュージシャンたちのパフォーマンスは、多くの人たちの知るところとなった。
しかし、クリーデンス・クリアウォーター・リバイバル(CCR)もこのフェスに参加していたことはあまり知られていない。それもそのはず、彼らの演奏は映画の中に収録されていなかったからだ(2009年に発売された40周年記念盤で初収録されている)。
1968年にデビューを果たしたCCRは、ウッドストック・フェスティバルに出演が決まった時点で、すでに「プラウド・メアリー」、「バッド・ムーン・ライジング」と立て続けに全米チャート2位を獲得しており、その人気はアメリカのロックバンドの中でもトップクラスだった。
ウッドストックにおけるCCRの出番は2日目の後半、グレイトフル・デッドとジャニス・ジョプリンの間という、多くの観客がステージに集まるであろう時間帯だった。
このときの心境について、フロントマンのジョン・フォガティはのちにこう口にしている。
「ウッドストックに着くまで、自分たちこそがナンバー・ワンのバンドだと感じていた。
ビートルズを神とするならば、俺たちはそれに続く存在だと思っていたんだ」
ところがCCRがステージに上がる直前、ちょっとした不幸が起きた。
グレイトフル・デッドがステージを降りる際に「おやすみ」と言ったためか、一部の観客が眠り始めたのだ。時刻は24時を回っており、長時間に渡るフェスの中で疲労もたまっているはずで、無理もないことだった。
そのためか、ステージに上がったCCRは大観衆の前に立ったにも関わらず、表情に気負った様子は見られなかった。
2ndアルバムの冒頭に収録されている「ボーン・オン・ザ・バイヨー」で幕を開けると、リリースされたばかりの3rdアルバム『グリーン・リバー』のタイトル曲へと続いた。
ライブが後半になるにつれて彼らのアドリブも熱を帯びていき、1曲ごとの演奏時間もレコードより大幅に伸びていった。
「Born On The Bayou」
「I Put A Spell On You」
映画にCCRのパフォーマンスが収録されなかったのは、満足のいく演奏ができなかったというジョン・フォガティの意向によるもの、あるいはレコード会社の意向ともいわれているが、いずれにせよ映画の中に彼らの姿がないのはとても残念なことだ。
もし彼らが映画に出ていたら、全米シングルチャート2位を5回も獲得しながらも、一度も1位を獲得できなかったという彼らの歴史も変わっていたのかもしれない。
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