これが本当の80年代洋楽ヒット・第5回
80年代の洋楽をまとめたネットコンテンツやラジオ番組や雑誌には、いつもお決まりのアーティストやヒット曲だけがラインナップされている。それは同時代のコンピレーションがリリースされても同じこと。今回の企画はそんなありきたりの選曲ではなく、聴くだけで(観るだけで)「ああ! いた!! あった!!」と歓喜するようなアーティストやヒット曲を思いつくままに集めてみた。題して「これが本当の80年代サウンド」。そろそろマドンナやマイケル・ジャクソンの呪縛から解放されよう。ドライブや通勤タイム、懐かしの音源探しに活躍すること間違いなし。(選曲/中野充浩)
ジョン・フォガティ「The Old Man Down the Road」(1984年・全米10位)
MTVに象徴されるように、80年代はポップをキーワードにした音楽やカルチャーが全盛だった頃。そんな時に突如として土臭いサウンドがチャートを駆け上がる衝撃。CCR時代と何ら変わらぬルーツ・ミュージックがここに復活したのだ。アルバムはNo.1を獲得。これを機に60年代を後追いした人も少なくない。
ピーター・ウルフ「Come as You Are」(1987年・全米15位)
J・ガイルズ・バンドのヴォーカリストがソロ転向後にリリースした2作目。前作『Lights Out』(1984)から3年。再びピーター・ウルフ節全開のナンバーが詰まった傑作。この人の場合はブルーズが根底にあるので、例えどんなにポップな楽曲を演っても決して軽くならない力強さがある。それにしても何度聴いても飽きない声だ。
ジョン・ウェイト「Missing You」(1984年・全米1位)
ベイビーズとして活動後、ソロに転向したジョン・ウェイト。80年代のヒットチャートを飾った膨大なヒット曲の中でも、これは極めて印象的な名曲。なお、ベイビーズは1988年にバッド・イングリッシュとして復活。No.1ヒット「When I See You Smile」を生んだ。
HSAS「Whiter Shade of Pale」(1984年・全米94位)
さすがにこれを思い出せる人は少ないはず。HSASとは、Hagar Schon Aaronson Shrieveの略。サミー・ヘイガーやジャーニーのニール・ショーンらによるスーパーグループだ。聞きどころはやはりプロコル・ハルムのカバー「青い影」。ヘイガーはこの後ヴァン・ヘイレンに加入した。
トミー・ショウ「Girls with Guns」(1984年・全米33位)
1984年はとにかくソロ活動が目立った年だった。人気バンドのスティクスからはデニス・デ・ヤングとこのトミー・ショウがソロ作をリリース(タイトル画像はアルバムジャケットより)。この曲がスマッシュヒットしたが、バラードの「Lonely School」にこそショウの真髄がある。80年代らしい風景が蘇る名曲だ。
クリスティン・マクヴィー「Got a Hold on Me」(1984年・全米10位)
フリートウッド・マックのクリスティンも1984年にソロ作をリリース。スティーヴィー・ニックスやリンジー・バッキンガムとはまた違った魅力、ソングライティングの才能を持つ彼女。ヒットしたこの曲の他にも、オープニングナンバーの「Love Will Show Us How」の疾走感などは特筆すべきものがある。マックとしての新作も待ち遠しい。
スティーヴ・ミラー・バンド「Abracadabra」(1982年・全米1位)
1968年にブルーズ・ロック・バンドとしてデビュー。70年代に「The Joker」「Rock’n Me」「Fly Like an Eagle」などの特大ヒットを放つ。この曲は一度聴いたら耳から離れない魔術的な魅力を秘める。バンドの最後のヒット曲でもある。80年代の音楽シーンは、60〜70年代から活躍するベテラン勢が時代に合わせた試行錯誤を繰り返した。それが楽しい。
サンタナ「Hold On」(1982年・全米15位)
1969年にデビューしたサンタナにも、この曲のような80年代らしいヒットがある。カルロス・サンタナのギターソロが眩しい。1999年になってまさかのキャリア全盛期を迎えることになるが、この頃は誰一人そんなことは想像しなかった。MTV向けに作られたビデオクリップも80年代そのもの。
ジェフ・ベック「People Get Ready」(1985年・全米48位)
寡作家のギタリスト、ジェフ・ベックが80年代半ばにリリースした『Flash』のハイライトは、ロッド・スチュワートを迎えてのソウルの名曲のカバー。ビデオクリップが素晴らしい。こういう忘れられたヒット曲を耳にすると、まだまだ80年代を掘り起こしたくなる。
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【執筆者の紹介】
■中野充浩のプロフィール
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