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これが本当の80年代サウンド⑪〜忘れられた洋楽ヒットにもう一度スポットライトを

2023.02.07

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これが本当の80年代洋楽ヒット・第11回


80年代の洋楽をまとめたネットコンテンツやラジオ番組や雑誌には、いつもお決まりのアーティストやヒット曲だけがラインナップされている。それは同時代のコンピレーションがリリースされても同じこと。今回の企画はそんなありきたりの選曲ではなく、聴くだけで(観るだけで)「ああ! いた!! あった!!」と歓喜するようなアーティストやヒット曲を思いつくままに集めてみた。題して「これが本当の80年代サウンド」。そろそろマドンナやマイケル・ジャクソンの呪縛から解放されよう。ドライブや通勤タイム、懐かしの音源探しに活躍すること間違いなし。(選曲/中野充浩)

ロクセット「Dangerous」(1989年/全米2位)
スウェーデン出身の二人組(ペール・ゲッスルとマリー・フレデリクソン)。ロクセットの隠れファンは多いと信じている派だが、さすがに最近は話題にも上がらない。FMから流れると歓喜ものだ。80年代後半から90年代前半にかけて世界規模でヒットを連発。キャッチーな楽曲は昼下がりのドライブにも最適だった。


フィッシュボーン「Party at Ground Zero」(1985年)
このバンドを知ってる人はかなりの音楽好きなはず。タイトル画像はこのLA出身のミクスチャーバンド。当時はレッチリよりも人気があった。と言っても時代は80年代。彼らのような一歩も二歩も先を行く感性が大衆に理解されるのにはまだまだ早すぎた。日本では2トーンやジャマイカン・スカなんかを聴いていた元祖クラブピープルに人気があった。


ティファニー「I Think We’re Alone Now」(1987年/全米1位)
かつてブリトニー・スピアーズやテイラー・スウィフトがデビューした頃、いつも1987年のこのティファニーを思い出していた。80年代後半に突如として吹き荒れたティーン・ポップ/ティーン・アイドル旋風。アメリカのショッピングモールを巡る画期的なツアー。日本でも大人気となり来日公演も行った。そんな彼女も間もなく50歳。


デビー・ギブソン「Out of the Blue」(1988年/全米3位)
そのティファニーとライバル視されたのが、同年にデビューしたデビー・ギブソン。しかし彼女はアイドルというよりは優れたシンガー・ソングライターでもあった。大名曲「Lost In Your Eyes」がリリースされるのは1989年。忘れられたという観点ではデビューアルバムに収録されたこの曲の方がいい。マルティカあたりも選曲に含めれば、「女子版・80年代青春のサウンドトラック」の出来上がりだ。


エディ・マーフィ「Party All the Time」(1985年/全米2位)
前回のパート10ではブルース・ウィルスを紹介したが、今回はこの人。『ビバリーヒルズ・コップ』の大ヒットで人気絶頂にあったエディ・マーフィ。この頃はヒップなコメディアン兼映画スターとして勢いが加速した頃。総合チャートで2位というのも凄い。ちなみに2006年の『ドリームガールズ』での演技は本当に泣かせてくれた。


アズテック・カメラ「Oblivious」(1983年/全英18位)
「ネオアコ永遠の名曲名盤」とか「渋谷系のアーティストに絶大に影響を与えた」とか、今でこそそんなアナウンスが当たり前になっているが、1983年当時のアズテック・カメラを支えたのはほんの一部の音楽好きの少年少女たちだった。クラスでも一人いたら奇跡の確率。久しぶりに聴いてみたが、この瑞々しさは一体何なのだろう。スコットランドの音風景を思い浮かべるより先に、80年代の青春風景が甦った。まだ10代だったロディ・フレイムのギターが凄い。


ゾディアック・マインドワープ&ザ・ラヴ・リアクション「Prime Mover」(1987年/全英18位)
このバンドを覚えている人、いや当時聴き入っていた人はそんなにいないはず。当時アメリカでメインストリームを形成していたLAメタルは英国人にはどう映っていたのか。そんなことをふと考えてしまう。余談だが、彼らとドクター&ザ・メディックス、ジグ・ジク・スパトニック、ファスター・プッシーキャット、トランスヴィジョン・ヴァンプあたりがずっと混同していたが、このシリーズ企画を続けているうちにすっきりまとまった(笑)。


10,000マニアックス「What’s the Matter Here?」(1988年/全米80位)
1983年のデビュー以来、カレッジチャートで支持されたアコースティック系のオルタナティヴ・バンド。個人的にはREMよりも聴きやすくて好きだった。この曲はサード作『In My Tribe』のオープニングナンバー。なお、ヴォーカルのナタリー・マーチャントはバンド脱退後の1995年に大名盤『Tigerlily』をリリース。マニアックスでのイメージを塗り替えた。


ブルース・ホーンズビー&ザ・レインジ「Mandolin Rain」(1987年/全米4位)
ヒューイ・ルイスとの出逢いが縁でレコードデビューしたというブルース・ホーンズビー。当時のヒューイがポップスター並みの活躍真っ只中ということもあり、最初はどうせ二番煎じだろうと思って興味なかったのだが、FMから流れてきたこの曲に心奪われたことを思い出す。アメリカの大地の風景や風を感じさせる一級のルーツミュージックだ。








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【執筆者の紹介】
■中野充浩のプロフィール
https://www.wildflowers.jp/profile/
http://www.tapthepop.net/author/nakano
■仕事の依頼・相談、取材・出演に関するお問い合わせ
https://www.wildflowers.jp/contact/

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