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これが本当の80年代サウンド⑩〜忘れられた洋楽ヒットにもう一度スポットライトを

2023.01.31

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これが本当の80年代洋楽ヒット・第10回


80年代の洋楽をまとめたネットコンテンツやラジオ番組や雑誌には、いつもお決まりのアーティストやヒット曲だけがラインナップされている。それは同時代のコンピレーションがリリースされても同じこと。今回の企画はそんなありきたりの選曲ではなく、聴くだけで(観るだけで)「ああ! いた!! あった!!」と歓喜するようなアーティストやヒット曲を思いつくままに集めてみた。題して「これが本当の80年代サウンド」。そろそろマドンナやマイケル・ジャクソンの呪縛から解放されよう。ドライブや通勤タイム、懐かしの音源探しに活躍すること間違いなし。(選曲/中野充浩)

ビーチ・ボーイズ「Getcha Back」(1985年/全米26位)
1983年末にデニス・ウィルソンを失ったビーチ・ボーイズが、MTV時代にリリースした最初のアルバムからのシングルカット。打ち込みなどを取り入れて80年代仕様に。ビーチ・ボーイズの歴史からみれば何の変哲もない曲かもしれない。でもヘヴィメタルやイギリス勢が活躍していた1985年、この曲をMTVで耳にした時はすっかり心奪われた。最高の一曲だ。なお、意外な事実として、アルバムにはボーイ・ジョージが曲を提供、ゲイリー・ムーアが録音に参加している。


ジョーン・ジェット&ザ・ブラックハーツ「I Need Someone」(1984年)
R&R界の姐御ジョーン・ジェットをこの企画に入れるのはやや抵抗を感じるものの、忘れられたという観点ではこれを機にぜひ聴いてほしい曲。1961年のベルモンツのヒット曲のカバーで、はっきり言ってこのブラックハーツ版がめちゃくちゃカッコイイ。当時MTVで観た時は瞬間的にやられてしまい、次の日にタワーレコード(もちろん輸入盤専門店時代)へアルバムを買いに行ったことを思い出す。


マイアミ・サウンド・マシーン「Words Get in the Way」(1986年/全米5位)
こちらもグロリア・エステファンという観点でなく、彼女があくまでもメンバーの一人だった頃のMSMの名曲バラード。夏の終わりにリゾートホテルのバーで耳にしていたい曲。夜風の中で80年代の風景も蘇ること間違いなし。もちろんグロリアのベスト盤ではなく、必ずオリジナルアルバムの流れで聴いてほしい曲だ。


プリミティヴズ「Crash」(1988年/全英5位)
紅一点トレイシー・トレイシーを看板に、80年代後半の英国で人気を博したプリミティヴズ。今回のタイトル画像はこのバンド。当時レコードを買った人はかなりのグッドセンスの持ち主。今聴いてもサムシング・ニューを感じるギターポップの嵐。ちなみにこの曲は、その後90年代になってジム・キャリーの映画などでも楽しそうに使われていた。


トランスヴィジョン・ヴァンプ「I Want Your Love」(1988年/全英5位)
上のプリミティウズと比較されることもあったのが、同時期に英国から登場したトランスヴィジョン・ヴァンプ。こちらはウェンディ・ジェイムス嬢の人気もあって、日本の音楽雑誌などでも結構取り上げていた記憶がある。この曲を収録したアルバムも全英4位まで上昇。しかし、よくこのバンドを思い出せた(笑)。


テイラー・デイン「Tell It to My Heart」(1987年/全米7位)
80年代といえば、マドンナが火をつけたダンスポップが大人気だった頃。彼女のフォロワーも大量に生まれるが、ほとんどが一発屋だったり鳴かず飛ばずだったり。現在「テイラー」と聞くと、誰もがテイラー・スウィフトをイメージするが、バブル時代の洋楽シーンでは誰が何と言おうとこのテイラー・デインだった。ダンスフロアを賑わせたこのナンバーは彼女のデビューヒット。この後7曲連続トップ10ヒットを記録した。


ポーラ・アブドゥル「Opposites Attract」(1989年/全米1位)
ジャネット・ジャクソンの振付師(コレオグラファー)として有名になったポーラは、デビューアルバムから4曲ものナンバーワン・ヒットが生まれ、80年代後半から90年代前半はスーパースターとして君臨。この曲はアニメーションと共演するMVが話題に。余談だが一時期ブックオフの中古CDコーナー棚で大量にこのアルバムが安価で販売されているのを見て、時の流れを痛感するとともに、それだけみんなが買っていたのかと再認識したことを思い出す。


ブルース・ウィルス「Respect Yourself」(1987年/全米5位)
映画スターには歌がうまい人が結構いる。80年代はその才能を活かしてエディ・マーフィやドン・ジョンソンもチャートを駆け上がった時代。ブルース・ウィルスといえば1988年から始まった『ダイ・ハード』のイメージが強いが、1987年は『こちらブルームーン探偵社』で知られた人気TVスターだった。余談だがキム・ベイシンガーと共演した映画デビュー作『ブラインド・デート』(1987)は音楽ファンにオススメ。


ミッドナイト・スター「Freak-A-Zoid」(1983年/全米66位)
80年代R&Bファンなら知らない人はいないSOLARレーベル(Sound of Los Angeles Records)。その看板アーティストの一つでもあった彼ら。エレクトリック・ファンクの名作である『No Parking on the Dance Floor』(タイトルが洒落ている)からのシングルカット。R&Bチャートで大ヒットした(2位)。この種の音も強烈な80年代臭を放つ。








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【執筆者の紹介】
■中野充浩のプロフィール
https://www.wildflowers.jp/profile/
http://www.tapthepop.net/author/nakano
■仕事の依頼・相談、取材・出演に関するお問い合わせ
https://www.wildflowers.jp/contact/

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