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フラワームーブメント最後にして最大の祭典、ワトキンズ・グレン・サマー・ジャム

2024.07.27

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1967年に開催されたモンタレー・ポップ・フェスティバルの成功を機に、アメリカを中心にして一気に数が増えていったロックフェス。

ラヴ・アンド・ピースを掲げたヒッピー・ムーヴメントと結びついて多くの若者たちを取り込んでいき、1969年には伝説となったウッドストック・フェスティバルをはじめとして、年間で20以上ものロックフェスが開催された。

しかし、1970年代に入った頃にはヒッピー・ムーヴメントはすっかり勢いをなくし、ロックフェスの数も減りつつあった。

そんな時代の流れに逆らうかのようにして1973年の夏に開催されたのが、「ワトキンズ・グレン・サマー・ジャム」だ。

きっかけはおよそ1年前、グレイトフル・デッドのコンサートに、ディッキー・ベッツらオールマン・ブラザーズ・バンドのメンバーが、飛び入りで参加したことからはじまった。

それを観ていたシェリー・フィンケルとジム・コープリックという2人のプロモーターが、この2つのバンドを主軸とした大規模なコンサートを計画しはじめたのだ。

そこにザ・バンドの名も加わってチケットが発売されると、わずか10ドルだったせいもあってか、15万枚ものチケットは見事に完売するのだった。



開催日の前日にあたる1973年の7月27日。

会場となったニューヨーク州の北西部、ワトキンズグレンにあるサーキット場、ワトキンズ・グレン・インターナショナルには、すでに何千人もの観客たちが集まっていた。

ザ・バンドがリハーサルをしようとステージに上がると、すでに会場は大勢の人たちで溢れかえっていた。これではリハーサルが出来ないとメンバーは困惑したが、すでに興奮しきっている彼らを会場の外に追い出すのは困難と判断し、そのまま公開でリハーサルが始まるのだった。

そして7月28日。

会場にはチケットを購入した15万人をはるかに上回る、60万人もの人たちが押し寄せた。この数字は3日間で40万人を動員したウッドストック、そして5日間で50万人を動員した1970年のワイト島フェスを上回り、ギネス記録として登録された。

道路のいたるところに車が路上駐車されて渋滞が発生し、渋滞で進まないならと車を降りて徒歩で会場に向かう者も現れ、辺り一帯の交通は大混乱に見舞われた。会場にはあちらこちらで上半身裸の男が見受けられ、その光景はさながらサマー・オヴ・ラヴの再来だった。

当初は正午から始まる予定だったのが、午前10時に前倒しとなり、グレイトフル・デッドの「ベルタ」でコンサートは幕を開ける。ステージに設置された600個以上ものスピーカーから鳴り響く演奏ともに、会場は興奮に包まれた。


トラブルが発生したのは、2番目に登場したザ・バンドが演奏しているときだった。この日は朝から曇り空だったのだが、天気はさらに悪くなり、ついには激しい雷雨に見舞われたのだ。

ザ・バンドは一旦ステージを下り、コンサートは中断となってしまったが、一人ステージに戻ってきたのがキーボードのガース・ハドソンだ。ガースは雷が鳴り響く中、即興でソロを演奏し始める。それはさながら雷雨とのセッションだった。

しばらくして雨がやむと他のメンバーもステージに戻り、再びエキサイティングな演奏が始まった。のちにロビー・ロバートソンは、ザ・バンド時代の最高のパフォーマンスの1つとして、このワトキンス・グレンを挙げている。


最後の出番であるオールマン・ブラザーズ・バンドようやくが登場したのは夜の10時、そこから彼らはおよそ3時間に渡ってパフォーマンスを披露する。そして最後のアンコールでは、他のバンドのメンバーも合流してのセッションが繰り広げられた。


1973年。それは米軍がベトナムから全面撤退した年でもあった。

そういう意味でも「ワトキンズ・グレン・サマー・ジャム」は、ベトナム戦争への反対とともに始まったフラワー・ムーヴメントの最後を飾るにふさわしい舞台だったといえよう。


参考文献:『ロック・クロニクル 現代史のなかのロックンロール』広田寛治著(河出書房新社)



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