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デュラン・デュラン──常にヒップな存在としてあり続けたバンドの波乱に満ちた40年

2017.09.19

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80年代にニュー・ロマンティックの旗手として熱狂的な人気を集め、第2次ブリティッシュ・インヴェイジョンを象徴するバンドとして世界中に旋風を巻き起こした、デュラン・デュラン。1981年のデビュー以来、数多くのヒット曲を世に送り出してきた彼らは、今も現役として精力的に活動を続けている。9月20日からはナイル・ロジャース率いるシックをゲストに迎えた日本武道館公演を含む、9年ぶりの来日公演を敢行するデュラン・デュランの足跡を辿ってみよう。


1978年、イングランド中部の工業都市バーミンガム。ともにデヴィッド・ボウイの『Ziggy Stardust』を持っていることで親友になった幼なじみの少年2人=ジョン・テイラー(ベース)とニック・ローズ(キーボード)を中心に結成されたデュラン・デュラン。その名前は60年代のSF映画『バーバレラ』の登場人物から採られたものだった。その後、ロジャー・テイラー(ドラム)、アンディ・テイラー(ギター)、サイモン・ル・ボン(ボーカル)が加入し5人組となったデュラン・デュランは地元のクラブを中心に演奏活動を続けているところを見い出され、EMIとメジャー契約を結ぶ。1981年1月シングル「Planet Earth」でデビューすると、ディスコ/ダンス・ミュージックとパンクロックを融合したサウンド、そして端正なルックスと耽美なビジュアル・イメージで注目を集め、UKはもちろんオーストラリア、ポルトガルなど各国でヒットを記録した。同年6月には1stアルバム『デュラン・デュラン』を発表。デビューして半年も経たないうちに全英チャート3位を獲得、世界へはばたく足がかりを作った。


1982年4月には初の来日公演を行ったデュラン・デュランは、同年5月に2ndアルバム『Rio』をリリース。折しもMTVが開局したことをきっかけにミュージック・ビデオの影響力が急速に高まってきた時期。スリランカに長期滞在してミュージック・ビデオを制作するなど映像表現にも力を入れたデュラン・デュランの存在はアメリカ国内でも一気に知られることとなり、アルバムからのシングル・カット「Hungry Like The Wolf」は全米チャート3位を記録した。


1983年11月に発表された3rdアルバム『Seven & The Ragged Tiger』からは「Union Of The Snake」「New Moon On Monday」といったヒットを連発。中でもナイル・ロジャースがリミックスを手がけたバージョンがシングルカットされた「The Reflex」は、バンドにとって初の全英・全米チャート1位を獲得。世界的なバンドとしての地位を確立した。


順風満帆に見えたデュラン・デュランの活動だが、1985年にひとつの転機が訪れる。ジョンとアンディはドラマーのトニー・トンプソン(シック)、ソロ・シンガーのロバート・パーマーとともに〈パワー・ステーション〉を結成。一方サイモン、ニック、ロジャーの3人は〈アーケイディア〉を結成、それぞれが新ユニットでの活動を開始したのだ。


「4年間デュランのメンバーとしてやって来たけれど、少しバッテリーを充電しなきゃいけない時期でもある」(ジョン・テイラー)

「デュラン・デュランは僕らが考えていた以上に速いスピードで、予想もしなかったほど大きくなってしまった。それで僕らが逆にデュラン・デュランのイメージに縛られてたしまったことは事実だし、いきづまりを感じたのも事実だ」(サイモン・ル・ボン)


この2つのバンドは、あくまでデュラン・デュランの今後の活動に向けて新たな風を吹き込むためのサイド・プロジェクトとされていたが、ロジャーとアンディがバンドを脱退。デュラン・デュランはニック、ジョン、サイモンの3人組として再始動。直後に発表したシングル「Notorious」は全米2位のヒットとなった。


その後も5thアルバム『Big Thing』(1988年)、6thアルバム『Liberty』(1989年)とコンスタントに作品を発表してきたが思うような結果を残せず、バンドは低迷期に入ってしまう。普通であれば、そこで過去のバンドとして忘れ去られる運命が待っていそうなものだが、彼らは違った。1991年にはサポートとして参加していたギターのウォーレン・ククロロが正式メンバーとして加入。4人組となったデュラン・デュランは、ヒップホップやテクノから、ジャズやフォーク・ミュージックまでさまざまな影響を感じさせる7thアルバム『Duran Duran(The Wedding Album)』から「Ordinary World」「Come Undone」というヒット・シングルを送り出し、再びシーンの中核へと舞い戻ったのだ。


「あまりにも大きな成功を手にしてしまったから、比較してしまい、それと同じだけの成果を望み、いったい自分たちがどんな音楽を作りたいのかも見失いそうになった。それはかなり苦しい時期だった。ただあの頃があったからこそ、こうしてもう一度取り戻せたんだと思う」(ニック・ローズ)


『Duran Duran(The Wedding Album)』で新たなリスナーも獲得したデュラン・デュランだったが、1997年に創設メンバーのジョン・テイラーが脱退を発表。再びバンドは長い低迷期を味わうこととなる。2000年に発表された9thアルバム『Pop Trash』のツアー後には、ウォーレン・ククロロもバンドを離れた。

そんな停滞していた状況を打ち破ったのは、一度はバンドの元を離れたオリジナル・メンバーたちだった。5人はそれぞれの興味を追求する期間が続いたが、2001年ごろから徐々にメンバー間での対話が活発になりはじめ、ついにはオリジナル・メンバー5人揃ってのリユニオンが実現する。結成25周年にあたる2003年には5人によるワールド・ツアーを敢行。当初はツアーのみの再結成の予定だったが、そのまま制作活動に突入。5人揃ってのレコーディング作品としては1985年のシングル「A View to a Kill(007美しき獲物たち)」以来19年ぶりとなる10thアルバム『Astronaut』(2004年)を発表すると、UKチャート3位を記録し健在ぶりを見せつけた。


2006年にはアンディが再度脱退し、デュラン・デュランは4人組となってしまったが、バンドは意欲的に活動を展開。2010年発表のマーク・ロンソンをプロデューサーに迎えた12thアルバム『All You Need Is Now』をリリース。少年時代にデュラン・デュランを聴いて育ったというマーク・ロンソンは、『Rio』あたりの作品を彷彿させるバンド初期に回帰したサウンドを作り上げ、オールド・ファンと若いリスナー層をつなげる役目を果たす。


現時点での最新作となる13thアルバム『Paper Gods』。前作に続いての起用となるマーク・ロンソン、そして「The Wild Boys」「Notorious」などを手がけてきたナイル・ロジャースらをプロデュースに迎えたこのアルバムでは、女優としても活躍するジャネール・モネイやリンジー・ローハン、さらにはジョン・フルシアンテ、気鋭女性シンガーであるカイザやホリー・クックなど多彩なゲストとともに、ディスコ・リバイバルやEDMといった最新のダンス・ミュージックともシンクロするバンド・サウンドを展開。UKチャート5位、米ビルボードのアルバム・チャートでもベスト10入りするなど大きな好評を集めた。


「僕らは古くからの長い友人同士で、お互い良い関係を築き上げている。相手を思いやる気持ちがあり、忍耐強くて(笑)。いっしょにいるときはよく笑い合って楽しんでいるよ。メンバー全員のモチベーションも高く、1人じゃなく4人で作るものに最高のものが生まれるってわかっているんだ。これまでアルバムを作り続けて来られたというのは、僕らの良いコミュニケーションの結果だと思う」(サイモン・ル・ボン)

「デュラン・デュランは結成当時からオープンマインドな姿勢と新しい音楽に対してワクワクする気持ちを自然と持ち続けてきた。実験的な音楽に挑戦することを恐れることは一度もなかったね。聴いたことのない音楽を耳にすると『Wow! 凄くかっこいいじゃないか!どうやってこんな音楽を作ったんだ?』って、メンバー全員が今でも音楽のマジックに魅了され続けている。まるで磁力のように。だから、これは意識的ではなく自然と違うことがやりたくなるんだ。過去の作品と全く同じ方式を繰り返すことには惹かれないね。デュラン・デュラン・サウンドの再発明と再想像が僕らを一番魅了させるんだ」(ニック・ローズ)


来年2018年には、結成40周年の節目を迎える彼ら。波乱に満ちた歳月ではあったが、決して〈過去の存在〉には陥らず、常にヒップであり続けようという気概を持ってサヴァイブしてきたのがデュラン・デュランというバンドだ。シーンを彩った代表曲の数々と、最新のスタイルを纏った新曲たちを、同じような熱さでオーディエンスを踊らせることができるデュラン・デュランは、今こそがもっとも充実した季節を迎えているのかもしれない。



デュラン・デュラン ペイパー・ゴッズ・ジャパン・ツアー 2017
東京公演

2017年9月20日(水)東京・日本武道館
デュラン・デュラン、CHIC feat.ナイル・ロジャース
オープニング・アクト:BLOOM TWINS
大阪公演
2017年9月22日(金)大阪・オリックス劇場
デュラン・デュラン
オープニング・アクト:BLOOM TWINS
http://duranduran-japantour.com/


デュラン・デュラン『Paper Gods』

デュラン・デュラン
『Paper Gods』

(ワーナーミュージック)


デュラン・デュラン『The Singles 81-85』

デュラン・デュラン
『The Singles 81-85』

(ワーナーミュージック)



*参考文献、コメント引用
『アーカイヴ・シリーズVol.8 デュラン・デュラン』(シンコー・ミュージック・ムック)
女性自身「デュラン・デュラン 9年振り来日公演で語る結成40年の秘密」
ローチケHMV【インタビュー】デュラン・デュラン

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