TOKYO音楽酒場

【28軒目】目黒・カラビンカ──エスニックから和食まで、本格的な料理を味わえる音楽酒場

2015.12.01

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いい音楽が流れる、こだわりの酒場を紹介していく連載「TOKYO音楽酒場」。今回は目黒・権之助坂にある人気のダイニング・バーを紹介。レゲエからジャズ、ヒップホップまで雑多なジャンルを楽しむように、幅広いメニューの中からさまざまな美味しい料理も堪能できるお店です。

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4つの路線が乗り入れる目黒駅周辺は、閑静な住宅地であり、有名私立校や各国大使館が集まるエリアであり、オフィス街としても再開発がすすんでいたりと、さまざまな顔を持つ。目黒駅から目黒川へと下っていく権之助坂沿いには、多くの飲食店が軒を連ねる。上りと下りのバイパスに分かれるY字路に臨む、年季の入った雑居ビル。狭く急な階段を上っていくと、今回訪れる〈カラビンカ〉がある。

WUJA BIN BIN、stim、TUFF SESSION、Rickie-G、田我流とカイザーソゼ、ホテルニュートーキョーなど数多くのバンドやセッションで活躍するパーカッション奏者の高田陽平さんと、シェフの増田光則さんが共同でオーナーを務めるこのカラビンカは、先日オープン5周年を迎えた。陽平さんと増田さんは、もともと一緒にバンドをやっていた仲間なのだそう。

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「学生時代から音楽をやりながら、大井町のレゲエ・ショットバーでバイトしてたんです。そこで友達がいっぱい増えて、そのつながりで増田とタイ料理のレストランで働くようになった。そこで俺は10年くらい、増田は他の店舗でも働いていく中で飲食のあれこれを勉強して、一緒に店をはじめようってことになった。店を出す場所については結構広範囲に探してたんだけど、目黒のこの物件を見つけた時にロケーションも含めてすごく気に入ってね。窓もどーんと広いし、目の前に歩道橋があるのも面白いしね」(陽平さん)

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店内に入ると、右手にはオープンキッチンとくの字カウンター。正面には不揃いながらも調和を感じさせるヴィンテージの椅子とテーブルが並ぶ。トライアングル型のフロアに広々とした開放感を与えているのが、左右いっぱいに大きく広がる窓。窓からは権之助坂を行き交う人々や車のテールランプ、そして大きな通りを横断するようにかかる使い込まれた歩道橋が見える。2階にある店舗からの目線と、歩道橋を渡る人たちの目線がほぼ同じ高さにあるのは、ちょっと不思議な感覚があって楽しい。

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一見すると洒落たカフェ・ダイニングといった雰囲気のカラビンカだが、料理は本格的。しかもエスニックから和食、イタリアン、中華、さらには居酒屋風のつまみまでレパートリーも幅広い。ホワイトマーカーで窓に直接書かれた日替わりメニューだけでも20種類以上あって、どれから食べようか目移りしてしまう。

「自分は和食やいろんな料理をやってきて。洋食をメインにやってきたもう一人のスタッフと、それぞれの持ち味が出ればいいかなと思ってます」(増田さん)

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店のイチ推しは、ひな軍鶏♀丸揚。香ばしい風味に揚がった軍鶏のひな鳥は、そのまま食べてもジューシーで旨いが、お好みでねぎ生姜タレやミョウガのガリと一緒に食べてもまた美味しい。タイを中心としたエスニック料理の数々も、野菜もたっぷり入ったガパオライスのようにボリュームもあって、しっかり食事を楽しみたい向きにもオススメだ。

「野菜は農園から直接送ってもらってますし、魚も仕入れに行ってて。自分らで美味しいと思う食材を入れてます。旬な素材が入ったら、梅干し作ろうとかカラスミ作ろうとか、やれることは手を抜かずにやれたらいいかなって」(増田さん)

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「お客様に季節の移り変わりを感じながら食事が楽しんでもらえるように心がけ、料理人が手間を惜しまず調理している、それが自慢です。どんなメニューと合わせても困らない程度になんでもお酒は揃えてて。ワインはインポーターから直接取り寄せてるし、日本酒も酒屋さんと相談して季節ごとにあう銘柄を入れていて。今日も、秋の純米のおりがらみが入ったところ。あとは自家製酒もいろいろ作ってます」(陽平さん)

南高梅を黒糖と焼酎とラムをブレンドしたものに漬けた自家製酒は、さわやかな酸味がありながら、普通の梅酒と違ったコクのある風味が楽しく、ソーダで割ってもロックで飲んでも美味しい。

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ランチタイムも営業しているカラビンカ。昼は近隣のオフィスで働くOLやサラリーマンたちの胃袋を支え、夜は仕事帰りの人たちはもちろん、近くに住む地元民たちで深夜まで賑わう。カラビンカのプレオープンからの常連で、先日まで隔週1回のBGM係も担当していたというタカシさんが今日飲んでいたのは〈今世紀最高のレモンハイ〉だそう。

「〈今世紀最高のレモンハイ〉とか〈世界一美味しいレモンハイ〉とか無茶振りをすると、スタッフのみんなもノッてくれるんです(笑)。週3、4日は通ってるんですけど、料理もいつもおまかせでサラダを作ってもらってて。『今日は疲れてるから元気の出るサラダ』ってお題を出すと、シェフの増田くんがその日ある食材から見繕って作ってくれる。そういう遊びココロがあるのが嬉しいですよね。カウンターに座ってる常連たちは、ここのスタッフのラフな感じが居心地いいから来てるんじゃないかな」(タカシさん)

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カラビンカでは、通常のレストラン/バー営業の他に、不定期でライブイベントやDJパーティも開催。陽平さんが参加するstimやTUFF SESSION、Rickie-Gの他、田我流、児玉奈央、RINO RATINO IIなど、多彩なジャンルのアーティストがライブを行ってきた。

「この間もランタンパレードのライブがあったけど、その時は曽我部恵一さんがベースを弾いて、ピアノは横山裕章さん、パーカッションは俺が叩いて。近くに住んでる友達がレコードを持ってきて、勝手にかけたりするのもよくあるかな。常にオープンブースだからね。店で流れる音楽はいろいろだけど、強いて言えば、お刺身が不味くならないような音楽かな(笑)。レゲエやジャズ、ブラジル、キューバ、アフリカ、ハワイの音楽なんかもかかれば、夜遅くなってくればヒップホップやクラブ・ミュージックもかかる。俺もマス(増田さん)もスタッフのみんなも、いろんな音楽が好きだし。だけどお店で鳴ってる音楽って結構強制的じゃない? だからなるべく食事の邪魔にならないようなものってのは考えてる」(陽平さん)

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「僕も何でも聴くし、もともと陽平とバンドをやってた時も、ファンク、ヒップホップ、ロック、いろんなものが雑多に混ざってるような感じの音楽をやってて。だから(音楽も料理も)考え方はそんなに変わらないんですよ。違和感があるものを、並列に並べてみるのが好きというか。どれか一つのジャンルに寄せるのでもなく、居酒屋さんとかいろんなメニューを置いてるじゃないですか? アレっす(笑)。まあ、いくら雑多とは言っても、偏りはあると思いますけどね」(増田さん)

さまざまな人の好みを受け止めるキャパシティの広さを持ちながら、随所に揺るぎない信念が見え隠れする。カラビンカで供される料理にも流れる音楽にも、他のどこかでは味わえないこだわりを感じるからこそ、またこの店に足を運びたくなるのだ。

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撮影/相澤心也





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東京酒場 カラビンカ
東京都目黒区目黒1-5-15
03-5487-5501
11:30~14:00L.O.(月~金)
18:00~翌2:00(月~土)日休
カラビンカ Facebookページ

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