今年結成20周年を迎えた、中納良恵と森雅樹の二人からなるユニット〈EGO-WRAPPIN’(エゴラッピン)〉。ジャズ、スウィング、ブルース、スカ、歌謡曲などオールドタイミーな音楽に影響を受けながらも、パンクやニューウェイヴのフィルターを通した独自なスタイルでポップ・ミュージックに昇華し、常に新鮮な驚きを与え続けてきた。また、ホーンセクションを擁した編成で披露する圧倒的なライブ・パフォーマンスは無二の個性を放ち、国内の大型フェスのみならず、海外公演も行い大きな反響を集めている。
先ごろリリースされたばかりの、3枚組のベスト&カヴァーアルバム『ROUTE 20 HIT THE ROAD』。活動初期から現在に至るまで発表してきた楽曲群からライブでの人気曲を中心に、引き出しの奥に大事にしまっていたようなレア曲や、ここ10年ほどで広がっていった多彩なスタイルが窺えるナンバーの数々、そして書き下ろしの最新曲までを収録。入門編としてもぴったりの内容となった。
「くちばしにチェリー」 LIVE


中納良恵「自分たちの意見を言いはじめたらキリがないしね。私も〈雨のdubism〉とか久々に聞いて『あ、ええ曲やな』って思いましたもん(笑)。いや、ライブでもしょっちゅう歌ってる曲なんですけど、レコーディングしたテイクを聴くのって全然違う行為で。自分の過去の作品とか出した後にあらためて聴かないから、当時のことやその時のテンションとか思い出したりしてオモロいなって」
「雨のdubism」 LIVE

中納「天然リバーブ効かせてな。今となっては自由が利かへん状況も、当時はそれが当たり前やと思ってやってたから。だから別に苦労とか感じたことはなかったですね。プロデューサーとかはずっとおらんけど、その時々で助けてくれる人もおったし」
ここ最近では、EGO-WRAPPIN’として東京スカパラダイスオーケストラやBRAHMANらとコラボレーションを展開。また、中納良恵はソロ・アルバムを制作、森雅樹はドラマの劇伴を手がけるなど多面的な活動も見せている。
中納「自分のソロ・アルバムを作ったことで、エゴの制作において振り返ることは多々ありますね。それに最近ではエゴのレコーディングでも、私がピアノ弾いたり、森くんもベースやドラムを叩いてみたりと違う楽器やったりしだして。自分の中の探究心と向き合ってきたというか、その時点でやれることをやってただけなんですよね」
「admire」 MV

中納「そういう意味ではソロでやったことがフィードバックされてるとも言えるけど、同じコードでも弾く人によって響きが全然変わってくるし、そこから生まれてくるメロディも全然違う。そうなると必然的に出てくる言葉も違ってくる。それはやっぱり森くんと一緒やからこそ出てきた言葉やし、メロディやし。そういう部分が面白いところなんですよね」
EGO-WRAPPIN’はその時々の好奇心をダイレクトに表現へと反映してきたバンドでもある。彼らの代表曲のひとつである「色彩のブルース」(2000年発表)も、そういったミラクルが生んだ宝石のような1曲だ。
「色彩のブルース」 MV

森「当時にしても『愛してる』とか『がんばれ』みたいな歌が多い中で、〈鉛の指から流れるメロディー〉とか〈アルコールの川〉というフレーズが(中納から)出てくる感じがいいなって思いましたね」
中納「ちょっとモノクロの映画っぽくしたかったというのはあったかも。まあ、当時は少し背伸びしてたんだと思います。なんも知らんのに(笑)」
森「曲としてもジャジーなコードとか4ビートを覚えたてみたいな(笑)。あの曲、コードの数もそんなに多くなくて、シンプルなんですよね」
中納「本格的にジャズをやってる人たちにしたら『なんや、こんなん』ってなってたと思うんですよ。だけど〈覚えたて〉だからこそ直球でアプローチできた部分はあったと思います。それに私たちもジャズをやろうっていって作った曲じゃないし、ブルースをやろうと思って作った曲でもないし。それがよかったのかもしれないですね」
『ROUTE 20 HIT THE ROAD』には「異邦人」(久保田早紀)、「Fever」(リトル・ウィリー・ジョン)などこれまでにライブでカヴァーしてきた楽曲に加え、イアン・デューリー、カーティス・メイフィールド、荒井由美、たまなど、彼らの音楽性のルーツを紐解くスタジオ録音によるカヴァー集も収録している。
「異邦人」 LIVE

中納「カーティスの〈Move On Up〉みたいなド定番もやれるようになったってのは変化としてあるかも。昔やったら、ちょっと天邪鬼なところもあったから取り上げなかったかもしれへんけど、そういう意味では丸くなったなって思います。お客さんの気持ちとかも考えたりするようになってきたんかな。『よっちゃんがこれ歌ってるの聞きたい』とか言われたらうれしいし、そしたら『ほな、歌おか?』って気分にもなったりして。〈異邦人〉なんか、そもそもカラオケの十八番なんですからね」
作品を重ねるごとに聴き手のツボを直撃するクリティカルヒットを放つ一方で、予想を鮮やかに裏切っては他の誰も触れようとしていない扉を次々に開けてきたEGO-WRAPPIN’。同時に彼らはステージを重ねるごとにライブ・バンドとしての表現の可能性を追い求めていきながら、目の前のオーディエンスの欲求もしっかりと受けとめ、いかにとことんまで楽しませるかというショーマンシップを大事に育んできた──そして20年目の今。革新性と大衆性とをガッチリ噛み合った現在のEGO-WRAPPIN’は、バンドとしてまさしく無双の状態にあると言っていいだろう。5月11日からは全国ツアーもスタート。夏には恒例となっている東京・大阪での野音ライブ、そして11月にはグループとして初の日本武道館ワンマンも開催される。まるでお祭りのように盛り上がる祝福ムードの中でも、当の本人たちはいたってマイペースではあるのだが。
中納「もちろん、ここまで続けてきたからには、EGO-WRAPPIN’をこれからも育ててやるというか。その意味では、20年っていうのは感慨深いですけど……まあ、結構いつもと変わらんというか」
森「21年目、がんばりたいですね」
中納「たしかに! 21年目がんばりたいな(笑)」(中納)
「love scene」 LIVE


『ROUTE 20 HIT THE ROAD』 特設サイト
http://www.egowrappin.com/route20/
EGO-WRAPPIN’ AND GOSSIP OF JAXX live tour
『ROUTE 20 HIT THE ROAD』
5月11日(水)静岡・LiveHouse 浜松 窓枠
5月13日(金)神奈川・Yokohama Bay Hall
5月17日(火)鹿児島・CAPARVO HALL
5月20日(金)長野・NAGANO CLUB JUNK BOX
5月21日(土)石川・金沢EIGHT HALL
5月25日(水)北海・札幌PENNY LANE24
5月27日(金)青森・青森Quarter
5月28日(土)宮城・Rensa
5月30日(月)岩手・Club Change WAVE
6月4日(土)熊本・熊本B.9 V1
6月5日(日)香川・高松MONSTER
6月9日(木)広島・広島CLUB QUATTRO
6月10日(金)愛知・DIAMOND HALL
6月12日(日)山口・周南RISING HALL
6月13日(月)島根・アポロ
6月17日(金)沖縄・ナムラホール
「Dance, Dance, Dance」
7月9日(土)東京・日比谷野外大音楽堂
8月7日(日)大阪・大阪城音楽堂
EGO-WRAPPIN’ memorial live
11月27日(日)東京・日本武道館
詳細はofficial websiteを参照ください。

- TAPthePOPアンソロジー『音楽愛 ONGAKU LOVE』
TAP the POPが初書籍を出版しました!
「真の音楽」だけが持つ“繋がり”や“物語”とは?
この一冊があれば、きっと誰かに話したくなる
今までに配信された約4,000本のコラムから、140本を厳選したアンソロジー。462ページ。
「音楽のチカラで前進したい」「大切な人に共有したい」「あの頃の自分を取り戻したい」「音楽をもっと探究、学びたい」……音楽を愛する人のための心の一冊となるべく、この本を作りました。
▼Amazonで絶賛発売中!!
『音楽愛 ONGAKU LOVE』の詳細・購入はこちらから








