マーク・ボランとデヴィッド・ボウイが出会ったのは1964年の6、7月頃と言われている。2人ともまだ17歳で、それぞれ本名のマーク・フェルドとデヴィッド・ジョーンズを名乗っていた。
当時ボウイのマネージメントをしていたレスリー・コンの仲介で出会った2人は、スターになるという同じ夢を持ち、似たような境遇に置かれていたころもあって、すぐに意気投合するのだった。
それから7年が過ぎた1971年、マーク・ボランの率いるT・レックスが次々とシングルをヒットさせてスターダムを登っていくと、翌1972年にはデヴィッド・ボウイが『ジギー・スターダスト』の成功でロック・スターとしての確固たる地位を築いた。
奇しくも似たようなタイミングでスターになった2人は、互いをライバル視しながら刺激しあい、グラム・ロックを牽引していくのだった。
ところが70年代半ばになるとグラム・ロックの人気は下火になり、1977年にパンク・ブームが到来した時には、T・レックスはもはや過去のバンドになりつつあった。
そんな状況を打破しようとマークはメンバーを一新し、新生T・レックスは2月に最新アルバム『地下世界のダンディ』をリリースする。評判は上々で、少しずつ風向きが変わろうとしていた。
マークのもとにテレビ局からオファーが入ったのはそんなときのことだ。番組名はその名も「MARC」、通称マーク・ショウ。マーク・ボランが司会を務め、毎回ゲストとともに音楽をお届けする全6回の特別番組で、復活をはかるT・レックスにとってはまたとないチャンスだった。
放送は8月から始まり、番組には10ccやクイーンのロジャー・テイラー、ベイ・シティ・ローラーズの他、ジャムなど頭角を現しつつあったパンク・バンドも登場した。
そして9月7日に収録された最終回には、旧知の仲であるデヴィッド・ボウイがゲストとして駆けつけた。
ボウイはリリース直前だった「ヒーローズ」を披露し、最後はマークも加わって「スタンディング・ネクスト・トゥ・ユー」と題された、おそらく2人の共作であろう新曲が演奏された。
ところが、曲の途中でマークがステージの段差でよろけてしまい演奏は中断、撮り直しをすることもなくそのまま収録は終了してしまうのだった。
マーク・ボランがこの世を去ったのは、それから9日後の9月16日。愛人のグロリアが運転する車が交通事故を起こしてしまったのだ。
葬儀に参列したボウイは、生涯の友人についてこう言葉を残した。
彼は素晴らしい人間で、これまで出会った中で一番おかしな男でした。一緒にいるときはいつも二人で床を笑い転げていました。マークがいなくなって本当に寂しい。彼は輝く星だった。
マークが亡くなってから放送されたマーク・ショウの最終回は、マークがよろけて画面から消え、それを見たボウイが笑っているところで終わっている。
これがマーク・ボランの最後のテレビ出演と考えるとあまり格好がつかないが、いつも笑いあっていたマークとボウイの関係を思えば、実に二人らしい締めくくり方だったのかもしれない。

「地下世界のダンディ」
●Amazon Music Unlimitedへの登録はこちらから
●AmazonPrimeVideoチャンネルへの登録はこちらから

- TAPthePOPアンソロジー『音楽愛 ONGAKU LOVE』
TAP the POPが初書籍を出版しました!
「真の音楽」だけが持つ“繋がり”や“物語”とは?
この一冊があれば、きっと誰かに話したくなる
今までに配信された約4,000本のコラムから、140本を厳選したアンソロジー。462ページ。
「音楽のチカラで前進したい」「大切な人に共有したい」「あの頃の自分を取り戻したい」「音楽をもっと探究、学びたい」……音楽を愛する人のための心の一冊となるべく、この本を作りました。
▼Amazonで絶賛発売中!!
『音楽愛 ONGAKU LOVE』の詳細・購入はこちらから








