その生涯で何度にも渡って、刑務所での慰問コンサートを行ってきたジョニー・キャッシュ。
初めて刑務所で歌ったのは1958年の1月1日、場所はカリフォルニア州で最も多くの死刑囚が収監されていることで有名なサンクエンティン刑務所だ。
1955年にデビューしたキャッシュの最初のヒットは「Folsom Prison Blues」。キャッシュのもとには、囚人からもファンレターが届くようになり、刑務所からもコンサートの依頼が来るようになった。
自分の歌を求める者が牢獄の中にいるのならば、「そこに行って歌おう」と思うのは、キャッシュにとって刑務所で歌うのは自然な成り行きだった。
それ以来、何度も刑務所での慰問コンサートをしてきたキャッシュは、1968年にフォルサム刑務所の食堂に録音機材を持ち込み、ライブの模様をレコーディングして『At Folsom Prison』を発表した。アルバムは見事に全米カントリーチャート1位、総合チャートでも13位となってプラチナ・アルバムを獲得する。
年が明けた1969年2月24日、今度は初めての刑務所コンサートを行ったサンクエンティンで、再びレコーディング・ライブを敢行する。こちらはアルバム『At San Quentin』としてリリースされると、今度は全米・全英それぞれで総合チャート1位に輝いた。
この時の模様は映像でも記録されている。ライブの合間にキャッシュが水の入った“グラス”を要求すると、看守が囚人用のアルマイト製コップで水を持って手渡した。水を飲んだキャッシュはそのコップを投げ捨てて踏み潰すと、割れんばかりの歓声があがる。
そしてキャッシュは、その名も「San Quentin」という曲を歌い始める。
サンクエンティン、お前は朽ち果てて地獄で焼かれてしまうがいい
壁が崩れ落ちて、オレは生きてそのことを伝えるんだ
Johnny Cash / San Quentin
「At Folsom Prison」
「At San Quentin」
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