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谷川俊太郎とプロテストソング①〜テロの脅威や格差社会を予知していた歌「おしっこ」

2018.04.15

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この歌の作詞は、あの「鉄腕アトム」の主題歌の歌詞を手掛けた日本を代表する詩人・翻訳家・絵本作家・脚本家の谷川俊太郎によるもの。
作曲は谷川の詩を誰よりも深く理解し、これまでも多く共作してきた小室等である。
日本のフォークミュージック界の“父”と呼ばれる小室が2017年の9月に発表した12年ぶりのアルバム『プロテストソング2』に収録されているこの「おしっこ」は、ベトナム戦争当時に谷川が手掛けた「死んだ男の残したものは」(作詞:谷川俊太郎/作曲:武満徹)の続編にあたる歌だという。
同アルバムは、全編に渡って谷川による作詞で構成されている。
ちなみに、小室は1975年に吉田拓郎・井上陽水・泉谷しげると共に立ち上げたフォーライフレコード時代にも谷川の歌詞に曲を乗せて歌うコンセプトアルバムを創作している。
今から40年前(1978年)に発表したアルバム「プロテストソング」に込めた想いを、小室は今の世の中に対して改めて問うために谷川に声をかけた。
ベトナム戦争が激化していた時代…谷川は反戦歌「死んだ男が残したものは」を書いた後に、まるで未来を予知するかのようなこの「おしっこ」を紡いだという。
そこには、テロの脅威、経済至上主義、そして格差社会に対するメッセージが込められていた。

武器商人がおしっこしている
おしっこしながら考えている
銃がなければ平和が守れぬ
金がなければ自由も買えぬ


二人は最新作『プロテストソング2』を発表するにあたって行なった対談の中で、こんな会話を交わしている。

小室「谷川さん、あなたはベトナム戦争が激しかったときに偉大な反戦歌“死んだ男の残したものは”を書かれました。あなたがその後に書かれた “おしっこ”とはどういう歌なのですか?言葉ではある種の“挑発”ともおっしゃってましたけど…」

谷川「“死んだ男”は、反戦に対して割と正面を切ってますよね。詩としてはきちんとできているんだけど“おしっこ”に関しては正面切っても意味がないという想いもあって、少しからかった(皮肉った)ような形で書きました。」


小室「“おしっこ”を書かれた時から何年も経っているとは思いますが…その後(現在)世界のあちこちで自爆テロがまるでコンビニにでも行くかのように次々と実行されていますね。この間、北山修さん(精神科医であり元ザ・フォーク・クルセダーズのメンバーで“戦争を知らない子供たち”“あの素晴しい愛をもう一度”などのヒット曲を書いた作詞家)に、どうして彼らはバンバン自爆テロなどできるのか?と訊いたら…“何言ってんだ!日本人だって特攻隊がゼロ戦に乗って敵に突っ込んでいた時代があるんだよ。集団ヒステリーになれば、できちゃうもんなんだよ”と言われました。」

谷川「そうだと思いますよ…本当に。今はとにかく情報なんか瞬時に世界中に配信できるじゃないですか。新聞なんかが自分たちの独自の情報として流す力はないんです。隠された情報というのは我々一般人の目に触れずにメディアにも載っていないものだと思うんです。考え方によってはメディアの責任という部分もあるでしょうが…」


<引用元・参考文献『プロテストソング』小室等・谷川俊太郎(著)/旬報社>

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