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ラ・バンバ〜3曲のヒットを残して17歳の若さで逝ったR&Rスター、リッチー・ヴァレンス

2025.02.02

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『ラ・バンバ』(La Bamba/1987)


1959年。数年前に生まれたばかりのロックンロールが全米中のティーンエイジャーを夢中にさせていた頃。そんな2月3日。吹き荒れる悪天候が原因で、3人の若いロックンローラーを乗せた小型飛行機がアイオワ州のトウモロコシ畑に墜落。翌朝、パイロットも含めて4人全員が死亡しているのが発見される。

亡くなったのはツアーの移動中だったバディ・ホリー、ビッグ・ボッパー、そしてリッチー・ヴァレンス。この日の悲劇はティーンたちに大きな衝撃を与え、当時その一人だったドン・マクリーンは1971年になって「アメリカン・パイ」という曲をリリースし、「音楽が死んだ日」と歌った。

『ラ・バンバ』(La Bamba/1987)は、スターになった矢先の飛行機事故でわずか17歳の若さで伝説となってしまったリッチー・ヴァレンスの青春と恋、家族と兄弟愛、そして音楽への情熱を描いた映画だった。

本名リチャード・バレンズエラ。1941年5月13日、LA北部の町パコイマで生まれたリッチーにはメキシコ人の血が流れ、貧しい移民コミュニティの中で母親の女手一つで育つ。若者になったリッチーの夢は、明日のロックンロール・スターになって、農場で働く母親とまだ幼い妹たちにマイホームをプレゼントすることだった。

そんなある日、異父兄のボブが刑期を終えてリッチーたちの元に戻ってくる。一家は農場キャンプを離れ、南カリフォルニアで暮らすようになる。新しい高校生活が始まったリッチーは、美しい金髪の女の子ドナと出逢って恋に落ちる。WASP系である彼女の父親はヒスパニックのリッチーを差別の眼差しで見つめるが、ドナはリッチーのもう一つの夢となった。

地元のバンドのメンバーになったリッチーは練習に励みつつ、やがて自分のバンドを結成。母親や兄の注力もあり、町の公民ホールでデビューコンサートを開催する。ボブの不良仲間たちの乱入でメチャクチャになるものの、ドナとの距離は縮まり、レコード会社からもスカウトされる。

1958年。「カモン・レッツ・ゴー」でレコードデビューすると、リッチーの人生は変わり始める。セカンドシングル「ドナ」/「ラ・バンバ」は大ヒット。ドナとも結ばれて新車でドライブ、念願のマイホームも母親にプレゼントすることができた。

兄の嫉妬と確執もある中、リッチーはアラン・フリードのR&Rショーに出演。エディ・コクランやジャッキー・ウィルソンらと共演。ティーンの観衆から絶賛と歓喜の声を浴びる。この夜、彼は本当のロックンロール・スターになったのだ。

クリスマスに地元に戻ると、母親が盛大なパーティを開いてくれた。だがリッチーにはスターとしての過酷なスケジュールのツアーをこなさなければならない。ツアーの途中、兄と電話で和解するリッチー。それが家族が聞いた最後の声だった……。

この映画が構想されて、実現するまで14年もの歳月が掛かったという。まさに執念が実を結んだ作品となった。リッチーを演じたのはルー・ダイヤモンド・フィリップス。リッチーの歌と演奏は当時チカーノ(メキシコ系アメリカ人)・ロックのヒーローだったロス・ロボスが担当して、タイトル曲「ラ・バンバ」がナンバー1ヒットを記録。映画はラテン系移民の増加もあって、リッチー・ヴァレンスは無事にアメリカで再評価された。

兄と出向いたティファナの町の売春宿で、メキシコ民謡の「ラ・バンバ」が演奏されるステージをたまたま目にして、ロックンロール調にリメイクするアイデアが閃くところや、電話ボックスの中で会えない彼女に向かって「ドナ」を弾き語りするシーンなど、音楽映画としてとても幸せを感じる傑作だ。

予告編

ブライアン・セッツァーがエディ・コクランに扮して歌う「Summertime Blues」

ナンバー1ヒットになったロス・ロボスの「La Bamba」

こちらはリッチー・ヴァレンスの「La Bamba」


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*日本公開時チラシ
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*参考/『ラ・バンバ』パンフレット
*このコラムは2016年10月に公開されたものを更新しました。

評論はしない。大切な人に好きな映画について話したい。この機会にぜひお読みください!
名作映画の“あの場面”で流れる“あの曲”を発掘する『TAP the SCENE』のバックナンバーはこちらから

★2つの大切なお知らせ★


【スペシャルライブイベント開催】

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豪華6組弾き語り&バンドが出演。一夜限りのライブ&トークセッション!!
二度とない組み合わせ。これは本当に貴重な体験になると思います。

2025.2.28 FRI
横浜 ReNY β
OPEN18:00/START18:30


▼スペシャルライブイベント『音楽愛』について
https://www.tapthepop.net/extra/127354

▼出演
冷牟田竜之(ex東京スカパラダイスオーケストラ/Taboo)
山口洋 (HEATWAVE)
ショコラ&アキト(片寄明人/ GREAT3)
イエロースタッズ
THESE THREE WORDS(冷牟田竜之)
金子駿平
佐々木モトアキ
吉澤成友(YOUR SONG IS GOOD)


★チケット入手方法

※「通常チケット「スペシャルチケット」の2種類があり、受付ルートが異なります。

①通常チケット
受付 : e+(イープラス)
受付期間 : 2025年1月26日(日)12:00~(なくなり次第終了)
料金 : ¥6,600

※音楽愛の特設ページへの名前入れはありません。

▼通常チケットの購入はこちらから
https://eplus.jp/sf/detail/4257420001-P0030001P021001?P1=1221

②スペシャルチケット
受付 : CAMPFIRE(クラウドファンディング)
受付期間 : 2025年1月13日(月)~2月20日(木)
料金 : ¥8,000~¥50,000

※スペシャルチケット(体験型・支援型・グッズ付き/すべて数量限定)

▼スペシャルチケットの詳細・お申し込みはこちらから(CAMPFIRE内)
https://camp-fire.jp/projects/view/811070


【ご支援ご協力のお願い】

「音楽が秘めた力を、もっと多くの人々に広めたい」
「音楽が持つ繋がりや物語を、次の世代に伝えたい」
音楽コラムサイト『TAP the POP』は、今後の活動に向けてクラウドファンディングを実施中です。



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この機会にぜひ❝音楽愛❞を一緒に育ててくれませんか。どうぞよろしくお願いいたします。

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▼ TAP the POPクラファン「音楽愛」ページ(CAMPFIRE内)
https://camp-fire.jp/projects/view/811070

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