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WUJA BIN BIN ── 13人編成の規格外ビッグバンド、プログレッシヴかつポップな新作

2017.04.03

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不思議な語感のバンド名は、カエターノ・ヴェローゾの曲に「ウジャビンビン」と歌ってるように聴こえる曲があったから付けたのだという。ジャンルも言語も関係なく、自分が気持ち良く聴こえたように解釈してしまう「空耳」感覚。そんな自由なフィーリングは、そのままWUJA BIN BINという規格外のビッグバンドが奏でる音楽に通じる。

BEAT CRUSADERSなどで活躍したケイタイモ(ベース)がバンマスとなり、彼の妄想の中から生まれた楽曲を具現化するために結成されたというWUJA BIN BIN。スコア起こしを一手に引き受けるサックスのゴセッキーこと後関好宏(ASA-CHANG & 巡礼、在日ファンク他)を筆頭に、トランペットの類家心平(菊地成孔ダブ・セクステット他)、フルートのNARI(SCAFULL KING他)、キーボード中村圭作(kowloon、木村カエラ他)、スガダイローなどで活躍するドラマーの池澤龍作、パーカッションの高田陽平(Orquesta Nudge! Nudge!他)、ヴィブラホンの山田あずさ(渋さ知らズオーケストラ)、アニソンのヒット曲を多数持つシンガーの高橋瞳ら、いずれも異なるシーンで活躍する強烈な個性を放つミュージシャンばかりが集まった。

2012年にファースト・アルバムをリリースすると、その一筋縄ではいかないカオティックなサウンドが話題を呼ぶ。ギターレスの編成で、なおかつ歌詞を排除した楽曲が並ぶWUJA BIN BINの音楽は、逆立ちしてもポピュラーなスタイルとは言えない。13人編成というビッグバンドのスタイルからして、現代のシーンに逆行するような非効率さだ。変拍子のリズムと複雑に入り組んだ構成に男女混声の高速スキャットが絡みあい、目まぐるしく風景が変わっていく。その音の向こう側からはフランク・ザッパやセルジオ・メンデス、デューク・エリントンにヘンリー・カウ、パウル・ヒンデミットから、果ては浜口庫之助とシンガーズ・スリーあたりまで、さまざまな音楽が透けて見えてくるようだ。

2014年にリリースされたセカンド・アルバム『INAKA JAZZ』に続く、3年ぶりのニュー・アルバムがこの『The Best Planet Ever』。初回限定500枚のジャケットをケイタイモが自ら直筆でイラストを描きあげたという本作は、これまでの作品に感じられたカオティックな魅力を引き継ぎつつも、ファンクや四つ打ちなど新機軸も取り入れた。またスキャットで紡がれるメロディは、めくるめく展開のビッグバンド・サウンドの中で、今まで以上にポップな美しさを際立たせている。。

様々な音楽から授かった影響が、ケイタイモの脳内で誤解と妄想を重ねながら原型を留めないぐらいに発酵してしまったような、WUJA BIN BINの音楽。それはとてつもなくプログレッシヴでいながら、とてつもなく人懐っこい。


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WUJA BIN BIN
『The Best Planet Ever』
(ナチュラル・ハイテック)

WUJA BIN BIN official SNS
https://twitter.com/wujabinbin
https://www.facebook.com/WujaBinBin/

WUJA BIN BIN 3rd Album『THE BEST PLANET EVER』Trailer

WUJA BIN BIN「Zombayashi」 LIVE(セカンド・アルバム収録曲)

WUJA BIN BIN「SAFE DRIVING」 MV(ファースト・アルバム収録曲)

WUJA BIN BIN“THE BEST PLANET EVER”発売記念 東名阪ツアー
2017年4月15日(土)東京・代官山 UNIT(WUJA BIN BIN ワンマン)
2017年4月22日(土)大阪・心斎橋 FANJ twice(w/Yasei Collective)
2017年4月23日(日)愛知・名古屋 Tokuzo(w/Yasei Collective)

詳細は WUJA BIN BIN official twitter をご確認ください。


*本記事は2014年4月28日に初回掲載されたものに、加筆修正したものです。

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