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渡辺俊美 & THE ZOOT16/MIDORINOMARU ── 様々な音楽を内包しながら独自の世界を描く2作

2019.09.28

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渡辺俊美 & THE ZOOT16

TOKYO NO.1 SOUL SETのギター/ヴォーカルとして活躍する渡辺俊美が、2002年よりスタートさせたソロ・ユニット〈THE ZOOT16〉。レゲエ、スカ、クンビア、ルンバ、ジャズ、ヒップホップなど様々なジャンルを貪欲に呑み込んでは、パンクなアティテュードと歌謡曲に通じる歌心をもってミクスチャーしていく彼独自のスタイルは、多くのリスナーから熱い支持を集めている。

2018年からは、三星章紘(パーカッション、ドラム)、NiKA(ピアノ)、UJ(サックス)をメンバーに迎えたバンド・スタイルの〈渡辺俊美&THE ZOOT16〉としてライブ活動を展開。また新レーベル〈16STUDIO〉を設立して、THE ZOOT16として発表してきた代表曲のセルフ・リメイクと、渡辺自身の血肉となった洋楽ナンバーをカバーした企画アルバム『ROOTS16』を発表したのも記憶に新しいところだ。

渡辺俊美&THE ZOOT16の約1年ぶりのリリースとなるのが、待望のオリジナル・アルバム『NOW WAVE』。ケンネル青木(スティールパン)、□□□などで活躍する村田シゲ(ベース)、ぎぎぎのでにろう(ラップ)らのミュージシャンをゲストに迎えて制作された本作は、これまでと同様にあらゆる音楽を呑み込みながら、その中でもサンバやカリプソなどラテン・ミュージックに軸足を置き、新たな扉を開いている。トロピカルなエッセンスを強く打ち出したカラッとしたサウンドは一聴すると真夏によく似合うような印象もあるが、どこか男臭いセンチメンタルやロマンが充満していて、実は晩夏から秋にかけて聴いてみると一層胸に沁みてくるんじゃないか。

渡辺俊美 & THE ZOOT16『NOW WAVE』

渡辺俊美 & THE ZOOT16
『NOW WAVE』

(16STUDIO)



official website
http://www.zoot16.com/



MIDORINOMARU

THE ZOOT16のメンバーとしても活躍している三星章紘とNiKAの二人による〈バンド〉が、MIDORINOMARU。2010年に結成し、2013年から現在の二人編成で活動を続ける彼ら。ピアノとドラムのみ、最小限の編成で展開するのは、歌のないインストゥルメンタル・ミュージックだ。


そんなMIDORINOMARUの4作目となる最新アルバムが『Ready?』だ。

NiKAのピアノは、伸びやかで口ずさめるほどにキャッチーでいて、どこかドメスティックな郷愁も感じさせるメロディラインを奏でながら、左手で刻むリズムが効いていて、ピアノの演奏だけでも十分にグルーヴに満ちている。そこに絡み合う三星のドラムは表情豊かなプレイと奔放なセンスで、音の描く世界を鮮やかに拡張させていく。

「線路は続くよどこまでも」のユニークなカバーも含む全10曲は、ジャズ、ファンク、ロック、ポップス、クラシックと様々な音楽を内包しながらも、言葉がなくとも聴き手に豊かな情景を想起させる。しかも、自然と身体が動き出すほどにグルーヴィ。この二人にしか生み出し得ない独自のスタイルに到達した作品だ。

MIDORINOMARU『Ready?』

MIDORINOMARU
『Ready?』

(Permanent Records)



official website
http://midorinomaru.com/

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