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在日ファンク──浜野謙太を中心とするファンク・バンド、愛のメッセージが詰まった新作

2016.06.06

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へたくそでもいい あなたのうたを
あなたの声で 聴かせて
前世にさよなら そのかわり今は
声高に僕ら うたおう

むちゃくちゃでもいい あなたのうたを
あなたの声で 聴かせて
それぞれの場所で それぞれの声で
いろんなうたを 響かせて

(「それぞれのうた」より)



NHK連続テレビ小説『とと姉ちゃん』をはじめドラマや映画など俳優としても引っ張りだこの浜野謙太。ハマケンの愛称で知られる彼が2007年に始動させたファンク・バンドが〈在日ファンク〉だ。浜野自らがボーカリスト&リーダーを務め、Gentle Forest Jazz Bandでも活動するトロンボーンのジェントル久保田、ASA-CHANG&巡礼やWUJA BIN BINなどで活躍のサックス奏者・後関好宏をはじめとする7人編成の在日ファンクは、2010年にデビュー・アルバム『ZAINICHI FUNK』を発表。2014年には日本コロムビアからメジャー・デビューを果たし、ますます注目の存在となっている。

バンドのサウンド、そして表現の根幹にあるのは、もちろんファンク。それもジェームス・ブラウン直系の、ストレートでストイックなファンクネスだ。タイトかつグルーヴィなリズムに、切れ味鋭く緊張感に満ちたホーン、感情がほとばしるシャウト、華麗で俊敏なステップ──ひとつだけ違うものがあるとすれば、それは〈言葉〉だ。

繰り返されるビートの上で、日々の生活の中で生まれる鬱屈した想いや、不条理なことばかりが横行する社会に対抗するアティテュードを、一見コミカルな、だけどシンプルに真理を抉ったフレーズにのせ、グルーヴを突き動かすエネルギーに変換していく。

そうして結成当初から日本に在るべきファンクを追求してきた彼らだが、前作『笑うな』あたりまではネガティヴな感情がダイレクトに表出した楽曲が多かったものの、メジャー2ndアルバムとなる本作『レインボー』は、そういった側面は後退して、全編に〈愛〉が横溢した印象を覚える。ほとんどの詞曲を手がける浜野も2児の父として守るべきものの存在がより大きく、強くなったことがどこかで影響しているのかもしれない。また、日増しにきな臭くなる世の中に対して、大事なものを守るために立ち上がり、声を上げる人たちが増えてきたことも後押ししているのかもしれない。怒りや疑問を訴えるために、愛をもってシャウトする。そんな真摯な姿勢が、在日ファンク『レインボー』のあちこちに窺えるのだ。


叩く事だけが 戦いじゃないでしょ
鳴らす事だけが 音楽じゃないでしょ

叩く事だけが 戦いじゃないでしょ
泣かない事は 強さじゃないでしょ

(「叩かない戦い」より)




在日ファンク『レインボー』

在日ファンク
『レインボー』

(日本コロムビア)

  • iTunes
  • Amazon


  • *初回盤にはメンバー全員がそれぞれ監督したMVを収録したDVD付


official website
http://zainichifunk.com/

在日ファンク「それぞれのうた」 MV
在日ファンク「ぽいぽい」 MV
在日ファンク「ぬるまゆファンク」 MV


Live Schedule
7月23日(土)新潟・FUJI ROCK FESTIVAL ’16
8月20日(土)香川・MONSTER baSH ’16

4th アルバム『レインボー』LP 発売記念「ば」Vol.3
7月4日(月)東京・LIQUIDROOM

4th アルバム『レインボー』発売記念ツアー
9月1日(木)広島・セカンドクラッチ
9月2日(金)大阪・BIGCAT
9月4日(日)名古屋・CLUB QUATTRO
9月10日(土)新潟・NEXS NIIGATA
9月17日(土)福岡・BEAT STATION
9月19日(祝)・高松 DIME
9月24日(土)仙台・CLUB JUNK BOX
10月1日(土)東京・キネマ倶楽部
10月2日(日)札幌・CUBE GARDEN

詳細はofficial websiteを参照ください。

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