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ベートーヴェンは、ロック界のスターになれたかもしれない? 〜グレン・グールドの架け橋〜

2015.04.27

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普段はクラシック音楽には関心が薄い人でも、
耳にしたことはあるであろう、
ベートーヴェン(Ludwig van Beetthoven)作曲の
交響曲第7番より第4楽章。

それほど世間で知られているような曲ではなかったこの曲は、
ドラマや映画で話題となった『のだめカンタービレ』で
一躍有名になったとも言える。
しかし、この曲から感じるリズム感、
ロックやポップスの好きな諸氏にも何か通じるものはないだろうか。

ズン・ズン・チャッ・ツ、 ズン・ズン・チャッ・ツ、、、

リズムの基本とも言える、8ビートで感じられるこの曲は、
編曲や演奏次第では、現代のロックやポップスにも通じる音楽感がある。
それを踏まえて、もう一度、この曲を聴いてみてはいかがだろうか。


(カルロス・クライバー指揮:バイエルン国立管弦楽団)

作曲された当時(1812年)、
ロックに通じるような曲想かもしれないということを、
ベートーヴェン自身が予測することはなかっだろうが、
クラシック音楽は、当時としては、「最先端の音楽」であったはずで、
この楽曲は、当時の聴衆には斬新さを感じたこと請け合いである。

そうえば、学校の音楽室に壁に飾られていたベートーベンの肖像画、
その髪型はパンク的なものなぜか感じずにはいられない。
ベートーヴェンが、もし、生き返って現代に生きていたら、
誰もが知り得るロック界のスターになっていたかもしれない。



現在は、好きな楽曲はCDで何度も再生することができるし、
ダウンロードで簡単に楽曲を手に入れることができるが、
ベートーベンの活躍していた当時は、
CDやレコード、ラジオなどのメディア等がない時代。
お目当の曲を聴きたければ、コンサートホールで生演奏(LIVE)を聴くしかなく、
もしかしたら、同じ曲や、お気に入りの曲を、
もう一度聞きたいと思っても、聞くことなどできなかったかもしれない。

メディアの黎明期とも言える1960年 頃より主に米国で活躍した
ピアニストのグレン・グールド(Glenn Gould)は、
交響曲第7番より第4楽章は、
史上初のディスコミュージックではないかと感銘を受け、
ベートーヴェン作曲(リスト編曲)の
交響曲(ピアノ版)の名演を数多く残している。

残念ながら、彼の演奏による交響曲第7番より第4楽章の音源は手に入らないが、
今でもCDは手に入りやすい交響曲第5番(運命)と第6番(田園)の
グールドの演奏を聴けば、グールドの独創性あふれる演奏とともに、
その発言の根拠たるものが想像できるであろう。


(演奏:グレン・グールド ベートーベン作曲(リスト編曲)交響曲第6番(田園))

グレン・グールドのドキュメンタリー映像
「天才ピアニストの愛と孤独」の冒頭には、次のように紹介されている。

どんな形であれ、音楽家を自認するなら、
独創性がなければならない。
オリジナリティが前提だ。


その独創性あふれるグールドの演奏したバッハ作曲の「平均律」は、
米国の打ち上げた惑星探査機ボイジャーのレコードに収録され、
今でものその音楽は永遠の宇宙の彼方へ旅を続けている。
宇宙人がその演奏を聞いたとき、どのように感じるのかとても興味深い。。。


(演奏:グレン・グールド バッハ作曲「平均律」)


<ミュージックソムリエ 堀川将史>

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