ミュージックソムリエ

「それでも歩いてる」で高まる、欅坂46への期待

2017.11.06

Pocket
LINEで送る

吉田拓郎、ガロといったフォークシンガーや、山口百恵、天地真理などのアイドルが活躍した1970年代は、今なお愛される多くの名曲、ヒット曲が生まれた歌謡曲の黄金時代。
そんな時代の空気を、意外にも、いま大人気のアイドル・グループ、欅坂46が運んでくる。

欅坂46は、昨年4月リリースのデビュー曲から今年10月に発売された5thシングルまで全てがオリコン・ランキング初登場1位を記録するなど勢いに乗っているが、その人気を後押ししている要因の一つが、楽曲のクオリティーの高さ。
それは同じ秋元康プロデュースのAKB48グループのメンバーが羨むほどで、「サイレントマジョリティー」(サイマジョ)をはじめとする表題曲のみならず、各シングルのカップリングやアルバム曲にも秀作が多い。

そんな中でも1stシングルに“サイマジョ”と同時収録されていた「山手線」「渋谷川」、2ndに収録の「渋谷からPARCOが消えた日」「ボブディランは返さない」は特別な印象を残した。それは、この4曲に“70年代”が感じられたから。

グループのセンターを務める平手友梨奈のソロ曲「山手線」と「渋谷から~」は、ともに思春期の揺れる心を歌っており、平手のショートヘア、物憂げな表情と相まって「山口百恵の再来」の声を生んだ。


一方、ギターを弾きながら、今泉佑唯と小林由依のユニット“ゆいちゃんず”が歌う「渋谷川」は筆者に山本コウタローとウィークエンドの「岬めぐり」を思い出させ、「ボブディラン~」はガロの世界を彷彿させた。



そして、5thシングル「風に吹かれても」にも“新たな70年代フォーク”とでも言うべき曲が収められているのだが、「それでも歩いてる」というその曲には少々驚かされた。

歌っているのは、欅坂46の姉妹グループとして、“欅坂”からやや遅れて活動を開始した、けやき坂46(区別のために、欅坂46は“漢字欅”、けやき坂46は“ひらがなけやき”と呼ばれている)。
呼び名は違っても同様に可愛らしい女の子たちなのだが、「それでも歩いてる」は、「渋谷川」や「ボブ・ディラン~」に比べてハードな、吉田拓郎をイメージさせるような曲調で、しかも一人称はアイドルには稀有な“俺”。ゆいちゃんずからけやき坂46へと継承されたフォークのエッセンスは、想像を超える作品となって現れた。

彼女たちが70年代っぽい曲を歌う背景には、歌謡曲再評価の機運が高まっていることがあるだろうが、過去の文化が後の世に受け入れられるためには、新たな時代の感性による解釈や表現が必要だ。
欅坂46という最新のアーティストが歌ったことで”70年代”という懐かしさは、新鮮さをまとって現れた。それは、当時を知る世代を喜ばせるばかりでなく、若いファンには今までに知らなかった歌の魅力を伝えるに違いない。彼女たちのこれからがさらに楽しみになってきた。

(文・永井淳)



欅坂46 OFFICIAL YouTube CHANNEL


欅坂46『風に吹かれても(通常盤)』
SMR

Pocket
LINEで送る

スポンサーリンク

関連アーティスト

関連するコラム

    関連記事が見つかりません

[ミュージックソムリエ]の最新コラム

このコラムへの感想・コメントを書く

Pagetop ↑