夏といえば、フェスの季節──日本の地でもそんなイメージが定着してきたのは、やはり〈FUJI ROCK FESTIVAL〉がスタートしてからだろう。
1970年よりイギリスで続く〈グラストンベリー・フェスティバル〉を参考に、大自然の中で繰り広げられる大型フェスとして、1997年より続いている〈FUJI ROCK FESTIVAL〉。山梨県富士天神山スキー場にて開催された伝説の第1回は、開催当日に直撃した台風の影響による混乱もあり、2日目の開催は中止となった。しかし、その嵐によって突きつけられた現実と反省点があったからこそ、後に苗場スキー場へと会場を移したフジロックが世界一クリーンなフェスと呼ばれるまでに成熟し、また後続するフェスの数々が独自の路線を打ち出していくきっかけが生まれた。
現在では、一年を通じ大小合わせて200近くのフェスが全国各地で開催されるほど、日本でもフェスが浸透しているが、では、日本にはフジロック以前にフェスがなかったのかというと、そんなことはない。1969年の〈中津川フォークジャンボリー〉、1975年の〈ワンステップフェスティバル〉、1985年に開催された〈ALL TOGETHER NOW〉や、先頃ドキュメンタリー映画が公開された嵐の中のフェス〈BEAT CHILD〉、1991年から13年間続いた〈ロックンロールオリンピック〉など、エポックとなった大型フェスはいくつもあった。では、なぜ現在、さまざまな世代を巻き込む「フェス文化」として定着するようになったのか?
そんな「フェス文化」の源流を探るべく、TAP the POPのアーカイブの中から、古今東西のフェスに関連する記事をコンパイルしたのが、この特集。いくつものトライ&エラーが積み重なり成熟していったフェスの歴史を紐解くことで、またひとつ、新しいフェスの楽しみ方が見えてくるはずだ。
*初出:2014年7月15日/加筆・再構成:2015年7月11日
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