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PJハーヴェイを形作った幼少時代に聴いた音楽

2018.11.07

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ロックシーンにおいて独特の存在感を放つ女性シンガーソングライター、PJハーヴェイ。
1992年のデビュー以降、商業主義に走ったり流行に流されたりすることなく、マイペースに、そしてひとつひとつの作品を丁寧に作り上げていく彼女の創作スタイルはアーティストの理想であり、彼女に敬意と憧れを抱くミュージシャンは多い。

近年では2017年に発表した『ザ・ホープ・シックス・デモリッション・プロジェクト』が全英チャート1位になるなど、今なお高い人気と評価を獲得している。



作品ごとに多彩なサウンドを鳴らし、様々な表情を見せる彼女だが、それらに共通するのは幼少時代に聴いたブルースだ。

1969年の10月9日に生まれたポリー・ジーン・ハーヴェイ。
出身地はドーセットというイギリス南西部に位置する町で、PJハーヴェイによれば酒場がひとつあるだけであとは何もなかったという。

そんな田舎町で生まれ育った彼女だが、音楽はとても身近な存在だった。
というのも、両親ともにブルースやロック、フォークといった音楽の熱心なファンだったからだ。
家で流れていたのはロバート・ジョンソンやハウリン・ウルフ、ジョン・リー・フッカーといったブルースのレコード、それにジミ・ヘンドリックスとキャプテン・ビーフハートなどだったという。

「そういった慈悲深きミュージシャンたちの前に私は晒されていたの。だから彼らはいつも私の中にいるし、歳を取るにつれてそれが表に出てくるのよ」(ローリング・ストーン誌1995年のインタビューより)


思春期を迎えた中高生の頃には、両親に反発してデュラン・デュランやスパンダー・バレエといった当時流行っていた音楽を聴くようになった。
だが、そうした10代の頃に聴いていた音楽からの影響を認めながらも、やはり自身を形作っているのは親とともに聴いた幼少時代の音楽だと話している。

「幼い頃に学んだことが人生を形作り、人格や人間性、個性を形作るのよ」


三つ子の魂百までというが、彼女にとっては親に聴かされたブルースやキャプテン・ビーフハートといった音楽こそがそれなのである。

最後にPJハーヴェイのブルース・フィーリングが感じられる1995年の大ヒットアルバム『トゥ・ブリング・ユー・マイ・ラヴ』のタイトル曲を紹介したい。
冒頭の「私は砂漠で生まれた」という歌い出しは、キャプテン・ビーフハートの楽曲からの引用だ。






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