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“ニューヨークのため息”ヘレン・メリルの歌声に酔いしれて…

2015.07.21

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7月21日は“ニューヨークのため息”と呼ばれるジャズ歌手ヘレン・メリル誕生日です。
1930年にNYで生まれた彼女は今年で85歳を迎えました。
クロアチア(旧ユーゴスラビア)移民の子としてブロンクスで育ち、14歳の時からプロ歌手となり、ブロンクスのThe845Clubで歌い始める。
彼女は若くしてマイルス・デイビスやディジー・ガレスビー、バド・パウエルといったジャズの巨人達との共演を経験し、その歌声に磨きをかけてゆく。
デビュー当初はヘレン・ミルケティックというファミリー・ネームで歌っていたが、のちにヘレン・メリルと改名。
1948年、18歳の若さでクラリネット奏者のアーロン・サクスと結婚するが、1956年に離婚。
数多い女性ジャズ歌手の中で、とりわけ我が国のファンに愛されているシンガーである。
ハスキーでけだるい彼女の歌声は、たとえばエラ・フィッツジェラルドやサラ・ヴォーンのようにスケールの大きなものではないが、いわゆる“ジャズのムード”にピッタリはまっている歌声として愛聴されてきた。
日本の歌手、青江三奈が彼女に大きな影響を受けているのは有名な話である。
また彼女にとって初のソロ名義アルバムとなった『Helen Merrill with Clifford Brown』(1955年)の中に収録されたコール・ポーター作曲によるジャズのスタンダード「You’d be so nice to come home to」が、80年代のSEIKO時計ドルチェ&エクセリーヌのテレビCFイメージソングとして流され、広く一般に知られるきっかけとなった。

「You’d be so nice to come home to」/ヘレン・メリル


この「You’d be so〜」のタイトルを、ジャズ好きとしても知られるタレントの大橋巨泉が“帰ってくれたらうれしいわ”と訳した。
しかし、巨泉が広めようとした邦題は今ひとつ浸透しなかったというエピソードがある。
正確には家に帰ってくるのは“わたし”であって、素直に訳せば“わたしが家に帰った時、あなたがいてくれてうれしい”というのが近いところだろう。
また、イラストレーターでジャズに造詣の深い和田誠は、これを“帰った時のあなたは素敵”と訳したらしい。
一般的にジャズマンたちは、原題を略して“ユード・ビー”と呼ぶことが多い。

「You’d be so nice to come home to」/青江三奈

彼女は大の“日本びいき”としても有名で、1960年の初来日以降、度々日本を訪れは多くのファンを魅了している。
1966年頃には、アメリカの通信社のアジア総局長ドナルド・ブライドンと再婚し、それを機に一時期は日本に居をかまえたこともあり“カタコトの日本語を話す親日家”としても知られる。
その頃に覚えた日本民謡の「五木の子守歌」は今や彼女のレパートリーとなっており、来日ステージでも度々歌っている。

「五木の子守歌」/ヘレン・メリル

また、彼女が73歳の時に発表したプラハ録音のアルバム『Lilac Wine』(2003年)では、エルヴィス・プレスリーの「Love Me Tender」やレディオヘッドの「You」をカヴァーするなど、世代やジャンルを超えて“歌を愛する”姿勢に多くの音楽ファンが称賛を送っている。

ヘレン・メリル『Helen Merrill with Clifford Brown』Limited Edition

ヘレン・メリル『Helen Merrill with Clifford Brown』Limited Edition

(2014/ユニバーサル ミュージック)


ヘレン・メリル『Lilac Wine』

ヘレン・メリル『Lilac Wine』

(2003/ Universal Distribution)

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