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かまやつひろしの名曲「どうにかなるさ」

2023.01.01

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1970年(昭和45年)4月5日、当時ザ・スパイダースに在籍中だったかまやつひろしの「どうにかなるさ」(フィリップス)が発売された。
同年の国内ヒットソングといえば…

1位「黒ネコのタンゴ」/皆川おさむ
2位「ドリフのズンドコ節」/ザ・ドリフターズ
3位「圭子の夢は夜ひらく」/藤圭子

大阪万博が開幕し、日本航空機よど号ハイジャック事件発生、空前のボーリングブーム、そして“ウーマン・リブ”(Women’s Liberation の略で女性自身の手による女性解放運動を意味する)という言葉が流行した年でもある。


この歌は、かまやつがザ・スパイダース在籍中に発表されたものである。
元々は同じグループサウンズのザ・タイガースのメンバーである岸部修三・岸部シロー兄弟のユニット“サリー&シロー”への提供曲(1970年2月発表のアルバム『トラ70619』収録)として、かまやつが作曲した楽曲だった。
作詞のクレジットには、『水戸黄門』の主題歌「ああ人生に涙あり」やCMソング「バーモントカレーの歌」でも有名な山上路夫の名が記されている。
同曲は、かまやつ自らのルーツ音楽でもあるカントリーミュージックの大御所、ハンク・ウィリアムズの「 (I Heard That) Lonesome Whistle〜淋しき汽笛“」(1951年)にインスパイアされた作品だと言われている。
カントリー&ウエスタンの楽曲の多くには、家族や地域(街や州)という共同体に縛られない男の心情が歌われており、その根底には、人口が流動的に動くアメリカ開拓期の精神風土が反映されているという。
かまやつがこの歌を作曲した1960年代の末。
世界では若者達の文化や価値観が大きな“転換期”を迎えていた。
60年代と言えば、集団就職に象徴されるような日本全域を民族大移動が襲った時代でもあった。
1960年から1975年の15年間のうちに、東京、大阪、名古屋の3大都市圏には1533万人の人口が流入したという。
この「どうにかなるさ」という歌は、故郷を離れて転々と流れながら暮らしても「きっと新しい出会いがある」という、カントリー&ウエスタン風の楽観主義に裏打ちされた歌と言えるのかもしれない。


それは我々日本人にも耳馴染の良いメロディーで、どこかで聴いたことのあるような?懐かしくも切なく響く旋律なのだ。
曲の歌詞に“I left my gal and left my home(恋人と別れ、故郷を去って)”という一節がある。
ここで使われている“gal(ギャル)”という女性を表現する呼称について一考してみた。
古今東西、曲の歌詞の中でgirl、lady、baby、honey、darling、sugar、etc…前出の“gal”を含め様々な女性呼称が使われてきたのは周知の事。
この曲が生まれたのは1951年(日本では第1回NHK紅白歌合戦の放送/力道山のデビュー)。
当時のアメリカン・カントリーミュージックシーンで使われていたこの“gal(ギャル)”という単語は、いわゆる田舎娘(Country Girl)の略称として表現されていたとの事。
例えば「風に吹かれて」の大ヒットで有名なボブ・ディランの2ndアルバム『The Freewheelin’』(1963年)に収録されている「Corrina, Corrina」の歌詞の中でもこの“gal”という呼称が使われている。
また、沢田研二が放ったヒットソング「OH!ギャル」(1979年/作詞・阿久悠)で“ギャル”という呼称が高らかに歌われ日本人に広まる起点となったり…洋邦楽問わず、例を挙げれば切りがないのだが、どうやら“gal(ギャル)”という言葉を歌詞中で初めて使用したのは、このハンク・ウィリアムスだったかも知れないのだ。
その“田舎娘”は時代を超え、海を渡り…平成の日本においてはその呼称をコギャル、ヤマンバetc…と細分化させ変化を遂げながら、田舎よりもむしろ都会を闊歩する“特有のファッションをした若者”として広く認知されていった。
この一考を通じて、古き良きカントリーミュージックと、昭和のファッションリーダーでもあったかまやつひろしと、平成の日本に出現したギャルとの間に何か特別な“関係性”を見つけたような気がした…





こちらのコラムの「書き手」である佐々木モトアキの音楽活動情報です♪
宜しくお願い致します。





【歌ものがたり2023 今夜すべての歌酒場で】

1月14日(土)長崎タンゲ食堂
1月15日(日)佐賀(唐津)DEN
1月20日(金)大牟田BAR LAST NUMBER
1月21日(土)行橋Rock ‘n Roll Bar Memphis
1月22日(日)二日市COFFEE AND CIGARETTES
1月26日(木)福岡(警固)呑処 岡ひろ
1月28日(土)米子 海あに💋
1月29日(日)岡山Record BAR COZY
1月30日(月)兵庫IL grazie伊丹店
2月9日(木)名古屋 ROLLING MAN
2月10日(金)京都Bar USAGI
2月11日(土)浜松Esquerita68
2月12日(日)東海市 Funky LIVE Diner ダイナマイト
2月18日(土)福岡 Bar KINGBEE💋
2月19日(日)大分・宇佐 Michiyard cafe
3月10日(金)札幌 天狼星(ドッグスター)
3月11日(土)札幌 SALINAS💋
3月12日(日)埼玉(北浦和) パラダイスロード
3月25日(土)佐賀 雷神💋


↓チケットご予約&公演詳細・共演者情報はこちら
https://ameblo.jp/sasakimotoaki/entry-12733736025.html









【TWO HUNDREDS 佐々木モトアキ×NOBUYAN’ Special Acoustic Live Tour 2023 東京公演 】

1月7日(土)東京・ZINC Asakusa

↓チケットご予約&公演詳細・共演者情報はこちら
https://ameblo.jp/sasakimotoaki/entry-12768882625.html





【佐々木モトアキ×Keith “唄うたいと雷神” Spring/Summer 2023 Japan Tour #1】


2月3日(金)富山・高岡GOOD FELLOWS
2月4日(土)金沢JealousGuy
2月5日(日)新潟 Live Bar Mush
2月23日(木・祝)広島NANA
2月24日(金)岡山Desperado
2月25日(土)米子 海あに
2月26日(日)松江MUSICA LIBERUM @Miz
3月4日(土)横浜Bar Brixton Market
3月5日(日)静岡・三島 ぐらBar’s
3月16日(木)沖縄・コザ CROSSOVER CAFE’614
3月17日(金)沖縄・那覇 Output
3月18日(土)沖縄・伊江島 Bar’n ZERO
3月20日(月)福岡 Bar KING BEE
3月21日(火・祝)福岡 Bar KING BEE



↓チケットご予約&公演詳細・共演者情報はこちら
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佐々木モトアキの楽曲「You」のミュージックビデオです♪
映像編集、ポートレート(写真)撮影共に、佐々木モトアキ本人が手掛けております。
とてもシンプルな技法ですが、何よりも登場する皆さんの表情が素敵です✨
人が“目を閉じている”表情。
その“瞼(まぶた)に浮かんでいる”誰かの顔。
繋がってゆく“一人ひとりの想い”が、100通りの、いや1000通りのドラマを描いてくれています。





佐々木モトアキ
執筆、動画編集、音楽・食・商品・街(地域)に関わるPRなどなど…様々なお仕事承ります。

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【佐々木モトアキ プロフィール】
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