♪「Country Girl」/プライマル・スクリーム
29歳で夭折(ようせつ)した伝説のシンガー、ハンク・ウィリアムス(1923-1953)。
彼はカントリーミュージックを語る上において、最も重要な人物の一人として、今も尚多くのファンに愛され続けている。
ハンクの代表曲の一つに「(I Heard That) Lonesome Whistle」というカントリー・ワルツがある。
御大ジョニー・キャッシュを始め、近年ではBECKなどもカバーしている名曲だ。
それは我々日本人にも耳馴染の良いメロディー。
かまやつひろしの名曲「どうにかなるさ」にもどことなく似た…懐かしくも切なく響く一曲だ。
この曲の歌詞に“I left my gal and left my home(恋人と別れ、故郷を去って)”という一節がある。
ここで使われている“gal(ギャル)”という女性を表現する呼称について一考してみた。
古今東西、曲の歌詞の中でgirl、lady、baby、honey、darling、sugar、etc…前出の“gal”を含め、女性に対して様々な呼称が使われてきたのは周知の事。
この曲が生まれたのは1951年(日本では第1回NHK紅白歌合戦の放送/力道山のデビュー)。
当時、アメリカンのカントリーミュージックシーンで使われていたこの“gal(ギャル)”という単語は、いわゆる田舎娘(Country Girl)の略称として表現されていたとの事。
例えばボブ・ディランの2ndアルバム『The Freewheelin’』(1963年)に収録されている「Corrina, Corrina」の歌詞の中でもこの“gal”という呼称が使われていたり、昭和のスーパースター沢田研二が放ったヒットソング「OH!ギャル」(1979年/作詞・阿久悠)で、“ギャル”という呼称が高らかに歌われ日本人に広まるきっかけとなったり。
洋邦問わず例を挙げれば切りがないのだが、この“gal(ギャル)”という呼称を歌詞中で初めて使用したのはハンク・ウィリアムスだったかも知れないのだ。
その“田舎娘”は時代を超え、海を渡り、平成ニッポンではコギャル、ヤマンバ、age嬢…と呼称を細分化させ変化を遂げながら、田舎というよりもむしろ都会を闊歩する“洒落女”として広く認知されている。
彼女達の言語やファッションセンスに“田舎娘”のDNAが刻まれているかどうかは、皆さんのご想像にお任せするとして…。
♪「(I Heard That) Lonesome Whistle」/ハンク・ウィリアムス
♪「どうにかなるさ」/かまやつひろし