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歌い継がれるシェナンドー・後編〜もう一つの流れを辿るとアイルランド系移民の心に

2021.05.15

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みんなアイリッシュだった~アイルランド系特集(TAP the POPより)
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♪「Shenandoah」/シセル
ノルウェーの女性歌手、シセルによるバージョンで、アイルランドの音楽大使に認定されている伝統音楽バンド、チーフタンズ(The Chieftains)のリーダー、パディー・モローニが笛で参加している。


おお、シェナンドー 逆巻く川よ…
おまえのもとを去ってはいるが おまえを忘れたりしない
おまえを最後に見てから7年の月日が流れた…


この曲はアイルランド系移民達にとっても深い意味を持つ歌だとも云われている。
この歌詞に出てくる「7年の月日」とは、当時の法律に関わる年数で、誰も住まない土地を開墾(かいこん)して7年暮らせば、そこが所有地と認められたという“七年法”のことを歌っているもの。
この“七年法”が適用されたのは、19世紀になってからアメリカに渡って来たアイルランド系移民でした。
裕福な土地はすでに先住民が占拠しており、当時のアイルランド系移民は辛く厳しい日々を送っていたという。
7年間の苦労を経て「住む土地も出来ましたから、あなたのお嬢さんをください」と求婚に行くラブソングとして歌われた歌詞もある。

♪「Shenandoah」/ヴァン・モリソン


シェナンドー酋長よ
私はお嬢さんを愛しています
彼女を連れていきたいです
どんなに反対されたとしても


川の船乗りたちが歌う古い舟歌(労働歌)は、いつしかアイルランド系白人の男性が酋長の娘に恋をするラヴソングへとなり、長い間に歌い継がれていくうちには様々な歌詞がつけられてきた。
そのメロディを聴くだけでも、甘いラヴソングというよりは、去りゆかざるを得なくなった者のそこはかとない哀愁を感じる…

♪「Shenandoah」/キース・ジャレット



キース・ジャレット『The Melody At Night, With You』

キース・ジャレット
『The Melody At Night, With You』

(1999/ ECM Records)


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