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同性から支持を集めるカントリー歌手だったケニー・ロジャースのイメージを180度変えた「レイディ」

2018.10.25

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2017年10月25日。
 つまり、1年前の今日、ナッシュヴィルには、様々なミュージシャンが、その男の最後のステージを祝うために集まっていた。
 1938年、テキサスに生まれた男は、カントリー界を代表するシンガーとして、60年間立ち続けたステージから、この日を最後に降りることを決めていた。
 ケニー・ロジャース。
 彼の代表曲「ギャンブラー」を歌ったのは、クリス・ステイプルトンだった。2018年のグラミー賞で、最優秀カントリー・アルバム、最優秀カントリー・ソロ・パフォーマンスをダブル受賞した、現代のカントリー界を代表するシンガーである。


テキサスホールデム(ポーカー)をする時にゃ
降りるべき時を知らなくちゃいけない


 列車の中で、歌の主人公が知り合った、年老いたギャンブラーのセリフである。ポーカーを語りながら、人生についてつぶやく老人。やがて彼は、列車に揺られながら、眠るように息を引き取るのだ。



 映画の一コマのようなこの歌の強烈なイメージのせいか、ケニー・ロジャースには圧倒的に男のファンがついていた。
 そんなロジャースに、曲を送った男がいた。
 その男は、彼が書いた曲を、その夜、ステージで披露している。


レイディ
輝く鎧に身を包んだ私は
あなたを愛する騎士
今私がこうしてあるのは
あなたゆえ


 それまでのケニー・ロジャースのイメージを180度方向転換させるようなバラードを書いたのは、ライオネル・リッチーである。
 コモドアーズのメンバーとして「スリー・タイムズ・ア・レイディ」や「イージー」などをヒットさせた彼は、ソングライターとしても活躍を始めていた。
 だが、この曲を書き終えた時、彼は自分で「レイディ」を歌うことも考えたという。
「自分で歌っても、スマッシュ・ヒットになりそうな気がしたんだ。でも、私の弁護士に言われたのさ。ケニーに歌わせれば、大ヒット間違いなしだと」
 実際、「レイディ」は、ケニー・ロジャースを、カントリー界のみならず、ポップス界の大スターへとのし上げることになった。
 ライオネル・リッチーがこの曲をケニー・ロジャースに聞かせた時、ケニーはこう言ったそうである。

「気に入った。女性向けだ。それこそ、私が手に入れたいと思っていたマーケットなのさ」



 お別れのステージ、最後に登場し、ケニー・ロジャースと「アイランズ・イン・ザ・ストリーム」をデュエットしたのは、ドリー・パートンだった。


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