アメリカに「赤狩り」が吹き荒れて、共産主義や自由思想が糾弾され、人種偏見と差別が増長していた1920年代。そんな時代に起きたサッコ=ヴァンゼッティ事件を映画化したのが、『死刑台のメロディ』(1971年/原題:Sacco and Vanzetti)である。
イタリアから大量にやって来た移民の労働問題で揺れるボストンで、靴屋のニコラ・サッコと、魚の行商をやっていたバルトロメオ・ヴァンゼッティが逮捕された。
二人は自由の国アメリカに渡って真面目に働いていたが、白人の中でも下層のイタリア移民に向けられる差別の中で、アメリカのために戦争へ行くのはいやだと、徴兵反対のグループに入っていた。
「戦争はごめんだ。我々はなぜ殺し合うんだ?」
密告によってとらえられた二人は、まったく身に覚えがない罪状にも関わらず、次々と提示される証言や証拠によって現金強盗殺人犯として裁判にかけられて、有罪の判決が下されたのだった……。
二人は裁判でも無実を訴えて、この事件には世界中から関心が集まり、裁判所やマサチューセッツ州政府に抗議が殺到した。しかし、裁判で無実を訴えて泣き叫んでも、判定は覆らなかった。
なぜならば「赤狩り」には、生けにえが必要だったからだ。1927年4月9日、二人には死刑判決が下った。
「へたに社会運動などに足を突っ込むと、こういう目に遭うぞ・・・」
生けにえに選ばれたサッコとバンゼッティは、判決から100日後に電気椅子に送られて処刑された。
「アメリカの裁判史上での汚点」と呼ばれる冤罪事件を怒りを込めて描き出したこの映画で、音楽を担当したのは、イタリアが生んだ映画音楽の巨匠となるエンニオ・モリコーネだった。
その主題歌「勝利の讃歌(Here’s To You)」を、アメリカのフォーク・シンガー、ジョーン・バエズが、生前に二人が遺した声明文の語句を引用して歌った。
あなた方を祝福しよう、ニコラとバート
わたしたちの心の中で永遠のやすらぎを
最後の最期の瞬間はあなたたちのものです
受難があなたたちの勝利となるとに!
1977年7月19日、マサチューセッツ州のマイケル・デュカキス州知事は、2人への裁判は偏見に基づいたものであったと冤罪を認めて、無罪を宣告したうえで、処刑された8月23日を「サッコとバンゼッティの日」と宣言した。
ジョーン・バエズが歌う
エンニオ・モリコーネ 指揮 ローマ・シンフォニエッタ・オーケストラ ラ・フェニーチェ・ヴェネチア合唱団 2007年 ヴェニス、サンマルコ広場

死刑台のメロディ

Sacco and Vanzetti
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