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堀下さゆりの子育てソング〜一児の母となって紡いだ “ママさんあるある”応援歌

2016.08.28

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今日も一日頑張りました
一人で育児奮闘しました
髪振り乱して顔も洗えず
気づけば一日終わってました
可愛いあの子はやっとねんね
すやすや天使のような顔して
これを見るから あしたも頑張れるかな


堀下さゆりというシンガーソングライターをご存知だろうか?
福島県相馬市出身の彼女は、ピアノを弾きながら歌うスタイルで2005年にビクターエンタテインメントからメジャーデビューを果たす。
1stアルバム『カゼノトオリミチ』のタイトル曲がNHK『みんなのうた』で放送されて大きな反響を呼ぶ。
以降、コンスタントにCD作品をリリースしながらライブ活動の他、ラジオパーソナリティーや楽曲提供、CMソング制作など多彩な活動を展開してきた才女だ。
2011年の東日本大震災以降は、東北に拠点を移し、一児の母となり、故郷に寄り添いながら“自然体の音楽”を全国へ発信している。
その独特な温かみのある声で歌われるポップで繊細なオリジナル曲は、多くのミュージシャンをはじめ、女性を中心に幅広く支持されている。



そんな彼女が、この夏(2016年7月)実に9年ぶりとなるオリジナルフルアルバム『うたかたの日々』をリリースした。
KinKi KidsやCHEMISTRYへの楽曲提供(作詞)、GOING UNDER GROUNDやHYなどプロデュースでも定評のある浅田信一(ex.SMILE)をサウンドプロデューサーに迎えて製作された本作は、一児の母となった彼女の優しさに満ち溢れたポップアルバムに仕上がっている。
良質な楽曲が並ぶ中、今までありそうでなかった“子育てママ応援歌”ともいえる「今日は寝てしまおう」のPVが完成した。
その公開にあわせ今回TAP the POPでご紹介するにあたって、曲の誕生経緯などについてインタビューをさせていただきました♪


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Q1:「今日は寝てしまおう」という楽曲(または歌詞)を書こうと思ったきっかけは?

約3年前(2013年)に出産を経験しました。
子どもは可愛いんだけど、もともと器用じゃない事もあって、子育てで自分の時間が全くと言っていいくらい取れなくなりました。
例えば、子どもが昼寝している30分とか1時間とかそういう時間に、何かちょちょっと(音楽の)仕事をひとつでも片付けてしまうとか、そういうのをやれればいいんだけど出来ない。
楽器や声など音をたててしまったら子どもが起きちゃうかも…と、ナーバスになって何も出来なかった事もあれば、単純に自分が疲れてしまって子どもが寝ている時に自分も休まないと辛いなぁ、とか。
特に生まれて最初の1年くらいは、授乳で常時寝不足だし辛くて…やらなきゃいけない事は山積みで…でも誰にも話せなくて…という毎日を送っていた感じでした。
まるで終わりのないトンネルみたいに感じたこともありました。
で、そんな生活になって1年くらい経ってからかな?新聞で“today”という、作者不詳のまま世界にひろがったという詩を読んで涙が止まらなくなったんです。
子育て中のお母さんの心情を見事に詩に織りなしたその詩に、私は救われました。
その時の自分を認めてもらったような気がしたんです。
「お母さん」は誰よりも朝早く起きて、栄養バランス良い献立を作り、掃除片づけもしっかりして、自分のしたい事は我慢して…そんな理想のお母さん像が、もしかして、現代を生きるお母さん達を追いつめているのかもしれない。
子育ては思い通りに行かない事の連続だから、頑張って毎日やっていてもどこかでうまくいかなくなって来ると、そんな時に張りつめた糸がプツンと切れてしまうような。
でも、完璧にならなくて良いんじゃないかなって。
頑張らなきゃいけない時はもちろんあるけれど、もっとうまく手抜き出来たらいいのになぁって。
そしたらママにももっと笑顔が増えて、そんなママと一緒に子どもの笑顔も増えて。
(自分も含めて)そうなったらいいよなぁって。
そんな強い思いから、出来ていった曲なんです。
いつか曲にしたいな、って、手帳に書き留めておいた「今日は寝てしまおう~」っていうフレーズがあって。
そこから、曲をひろげていきました。
ここまで(あえて)生活感を出した曲って、今まで書いたことなかったです。


Q2:子供を持って、ソングライターとして「変わったところ」「変わらないところ」が
あれば教えて下さい。

「変わったところ」は…やっぱり、こういう“生活感”をあえて曲に書きたいなって思うようになったところですかね。
もちろん全曲がそういう傾向になったわけではありませんが。
例えば、今回のアルバム選曲からは外れたんですが「君のうんち」っていう曲があって。これも子どもが出来てから書いた曲なんですけど「君がうんちをしてくれて嬉しい~」っていう歌い出しなんです(笑)
「うんち」って、普通なら汚いとかそういうイメージだし、まさか曲にするとは自分でも思ってなかったけど、生まれたての赤ちゃんのうんちって臭くないんです。
むしろうんちをしてくれる事が健康のバロメーターだったりするから、お母さんは赤ちゃんが毎日うんちをしてくれるとホッとする。
「あぁ、よかった、今日もしてくれた」って。
価値観が変わりました。そういう事はありますね。
「変わらないところ」は、デビューした時から、もっと言えばデビューする前から、わたしは“日常のキュン”を見つけては曲にしてきたなぁって思っているんですけど、そこは今も変わってないです。
恋愛も、家族愛も、全て。
ここは、きっとこれからも変わらないんだと思います。


Q3:今後、子育てを通じてどんな歌を作ってみたいですか? 

日常なので、心の叫びが入りやすいでしょうか(苦笑)
子育てをしている中で、自分の親への感謝もこれまで以上に出て来るし。
あぁ、こうやって育ててくれたんだなぁ、しんどかったろうなぁ、わたし生意気だったしなぁ、とか。
子育てを通じて思うのは、世代間の理解がもっと深まったらいいのになってこと。
生きて来た時代から来る価値観の違いってきっとあると思うんですけど、若い人も、お年寄りも、わたしのような中年の世代も、お互いの事をもうちょっとだけわかり合って、思いやることが出来たら、きっともっと優しくなれるのになぁって思う。
いつかそんなことをわかりやすく曲に込めてみたいです。
ちびっこもお姉ちゃんもお兄ちゃんもお父さんもおばあちゃんも、皆が手をつないでニコニコ聴けるような曲を死ぬまでに作りたいな。



【泡沫(うたかた)】という言葉を辞書で牽くと「水面に浮かぶ泡 (あわ) 」「儚く消えやすいもののたとえ。」と書いてある。
子育て真っ最中の彼女なぜ、この言葉をチョイスしたのか?
ミュージシャンとして重ねてきたキャリア。
母となってこれから重ねてゆく経験。
これまでもそうしてきたように…彼女は“日常のキュン”を歌にしたいという。
是非このアルバムを手にして、彼女が紡いだ「音」と「言葉」に耳を傾けて欲しい。
何かと忙しい日々の中で忘れかけた大切な“キュン”を思い出させてくれる歌に出会えることでしょう♪



【堀下さゆり オフィシャルサイト】
http://www.lilylife.net

utakata

堀下さゆり『うたかたの日々』

(SPACE SHOWER MUSIC)

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