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ビートルズの原点となる「ラヴ・ミー・ドゥ」から始まった輝かしい歴史

2017.10.05

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ビートルズのメンバーたちはみんな第二次世界大戦の戦火の下で生まれ育っている。
ジョン・レノンとリンゴ・スターが1940年、ポール・マッカートニーが1942年、ジョージ・ハリスンが1943年と、いずれも戦時中にこの世に生をうけたのだ。

彼らは戦争を知っている子どもたちだった。
そして愛を欲している子どもたちでもあった。

ビートルズの歴史がスタートする記念すべきデビューシングルの「ラヴ・ミー・ドゥ」は、愛を求めるシンプルでまっすぐな歌だ。
この曲のソング・ライティングはポールが行い、ジョンが手伝って完成したと言われている。

レノン&マッカートニーの最も初期の作品になるが、その後のビートルズの普遍のテーマとなる「Love」が主題だった。
その意味でも「ラヴ・ミー・ドゥ」はビートルズの音楽の原点である。

愛してほしい
そうさ 愛している
いつだって 嘘じゃない
だから 愛してほしい
愛してほしいんだ




ポール・マッカートニーは1956年、14歳のときに乳ガンに罹った母を亡くしている。
母の死による悲しみをまぎらわすためギターに熱中したポールは、ラジオから流れてくるアメリカのロックンロールを聴いて、それをカヴァーするのに夢中になり、1957年にジョンと出会ってバンド活動を始めた。

ジョンの産みの母だったジュリアが交通事故で亡くなったのは1958年7月15日で、「ラヴ・ミー・ドゥ」はその頃に作られたと言われている。

ともに多感な思春期に母を失くしたジョンとポールは、一緒にギターを奏でながら「ラヴ・ミー・ドゥ」を歌うことで、無意識のうちに生きている証を確かめていたのだろうか。
失われた母の愛情を歌の世界で、求めていたのかもしれない。

彼らの歌声と演奏は自然と生き生きとした弾けるものになり、強い生命力を放つようになっていった。

ビートルズは1962年の6月6日にはロンドンのEMIスタジオで、デモテープ録りのレコーディングが行われた後に、新しいドラマーにリンゴ・スターを迎え入れている。

そして9月4日にレコーディングを行い、EMIのパーロフォン・レ―ベルのプロデューサー、ジョージ・マーティンが準備した「ハウ・ドゥ・ユー・ドゥ・イット」と、自分たちのオリジナル曲「ラヴ・ミー・ドゥ」を仕上げた。

経験豊かなマーティンはヒットを出したいならば、「ハウ・ドゥ・ユー・ドゥ・イット」でデビューすべきだと主張した。
だが、メンバーはそれを強く拒否した。
ポールはその理由について、後にこのように話している。

僕たちはその曲をマスターして、試しにレコーディングした。でも、やっぱり、自分たちには向いていないと感じた。
僕らはバンドのイメージというものに対して気を配っていたんだ。
他の連中とは違う存在でありたかったのさ。


どうしても自分たちのオリジナル曲で行きたいと主張したため、9月11日に再びレコーディングが行われた。
自分たちが自分たちであること、自分たちのやり方で音楽をつくること、そこへのこだわりこそがビートルズの将来を決めたのかもしれない。

完成した「ラヴ・ミー・ドゥ」と「P.S.アイ・ラヴ・ユー」は、10月5日にデビュー・シングルとして発売になった。
ただし、マーティンがリンゴのドラムを良しとはせず、キャリアのあるアンディ・ホワイトがドラムを担当した。
メンバーになって間もないリンゴは、まだ自分を主張できずにタンバリンを叩いた。

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ジョンは「ラヴ・ミー・ドゥ」は何だったと思いますかと訊かれて、簡潔にこう答えている。
それはビートルズが自分たちらしくないと感じて、マーティンが選んでくれたポップソングを拒否した理由にもなっている。

「ロックンロールですよ、かなりファンキーな」


10月5日に発売された「ラヴ・ミー・ドゥ」は、いきなり人気をさらったわけではない。
イギリスのヒットチャートでは最高でも17位までしか上昇しなかった。

しかしセカンド・シングルのオリジナル曲「プリーズ・プリーズ・ミー」が1963年の1月からヒットしたことで、ビートルズを取りまく世界が一変していく。
ライブに観客が押し寄せるようになると人気が加熱し過ぎて、歌と演奏が歓声でかき消されるのが当たり前になっていった。

そして「抱きしめたい」の大ヒットで1964年に入ってビートルズはアメリカを席巻し、急激に人気が爆発したことによって「ラヴ・ミー・ドゥ」も、5月30日に全米チャートで第1位を獲得している。


(このコラムは2016年9月23日に公開されたものに加筆修正を施したものです)

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